ディア・ダディ・ロング・レッグズ

事あるごとに「日本版再演して!」と叫んでいたダディロングレッグズがシアタークリエで3年ぶりに上演された。f:id:oukakreuz:20171212180054j:image

正直前回の再演時に「このキャストでダディを見られるのは最後かもしれない」と覚悟を決めていたので、キャスト続投で発表された時はもう言葉にできないくらい嬉しかった。このチケットが取れたらもう今年の他のチケットは要りませんと願掛けしていたら、日頃の行いが良すぎたのかとんでもない運を引き寄せなんと3回も観劇のチャンスに恵まれました。しかも1階一桁列センターブロック…来年あたり死ぬのかもしれない。本望です。本当に本当に観られてよかった。f:id:oukakreuz:20171212180203j:image

ダディロングレッグズという作品を観るとき、私はジルーシャに寄り添う、というよりはジルーシャになって舞台を追ってしまう。
他の舞台だったら、客席から第三者として「この役は素敵な人だな」「この二人の関係性はかわいいな」と思うのだけど、ダディの場合は、ジルーシャの一言一句が染み渡るというか、自分が経験していない彼女だけの悲しみですら、乗り移ったようにこちらまで悲しくなってくるんですよね。

彼女の孤児院育ちのコンプレックスにまつわる言葉は、同じ立場ではない私たちもなぜか深く共感してしまう。会話がわからないと嘆く曲はコミカルだけど泣けてしまうし、新演出になってから特に繰り返し挟まれる「自分なら孤児院でどんな教育をしたいか」という話は、他人と関わりながら生きていく上でとても重要なことをたくさん教えてくれる。

「いかなる人間にとっても重要な資質は想像力だと思うの。それは相手の立場に立って考える助けになります。親切で同情心と理解力のある人間にしてくれる。そして、それは子供の時に植え付けられるべきものなのです。」

幸せの秘密は本当に本当に大好きで、結婚式でも流したし、凹んだ時に必ず聴く曲のひとつなのだけど、一番大事なメッセージは歌に入る前の台詞だと思ってます。

「わかるでしょうダディ、人が性格を問われるのは最大の困難に立ち向かった時ではないのよ。勇気さえあれば危機や悲劇を乗り越えることはできるんだもの。でも、日々のちょっとした障害を笑い過ごすために必要なのは、強い、精神力なんです。」

本当にそうだよなあ、、って日々思っています。イライラしそうな時、いつもこの台詞を思い出してる。
なんだろうな。観ている間は自分がジルーシャになっているし、「ジルーシャみたいな考え方をして、真っ直ぐに頑張れる女の子になりたかった」って強烈に思う。私は小説や漫画や映画も含めても、他の作品で「この子になりたい」なんて思う経験をしたことはないです。
周囲のミュージカルファンの中でも同じく「ダディだけはなぜかジルーシャ目線になるよね」と言ってる人が多いなあと思っていたら、今回パンフレットで言及されていた。ある程度は意図的なものだったんだなあ、ジョン・ケアードも真綾さんもすごい。

今回、新演出になったことで全体の流れやキャラクターの解釈が少しずつ変化していて、寂しかったりびっくりしたりしながら楽しみました。
オフブロライブ、韓国版と観てきて変更点を知ってはいたものの、慣れ親しんだ井上坂本ペアで・日本語で観ることで改めて「こういう作品に変化したんだな」と腑に落ちた感じ。

やはり一番の変化は歌詞などにジャーヴィス側の視点を大幅に盛り込んだことで観客がジャーヴィスに寄り添いやすくなったこと。


ただ、演出は変わっているものの中身は私の大好きな、偏屈なぼっちゃまのままで、大変嬉しかった!!私は井上芳雄の、ひねくれたジャーヴィスが大好きなんだ〜!!


なかなかデレない、気難しくて拗らせてて中身は純粋な井上坊ちゃんが大好きだーと実感したのでした。これは井上さんの役解釈だけでなく、演出家の意図も大いにありそう。

そして坂本真綾さんのジルーシャはなんかもう、前述した通り理想を詰め込んだような女の子なので、今回も最高でした!しか言葉が無いのだけど、ジャーヴィスの変化に伴って、ジルーシャもまた、「キツいだけの女の子」(パンフレットでご本人が仰っていた)にならないようにキャラクターが変化しているなと。


ここの掛け合いは好きだったので、私は少しかなしい…。

変更が悲しい点といえば、ジャーヴィスの歌詞で一番好きだった箇所もカットされてしまった…。


まあそれでいうと、ロックウィローも卒業式も大好きだったからなくなったのはかなり悲しいし、年寄りやチャリティの歌詞が大幅に変わってしまったのも寂しかった、あと2幕で社会主義や政治的なメッセージが強くなったのも個人的にはうーんと思ってるのだけど(パンフでその辺りも触れられてましたね、ていうか今回のパンフは本当に内容が濃かった)ただそういうのも全てひっくるめて、一度観たものと全く同じものは観られないのがナマの演劇の醍醐味なわけだから(と自分に言い聞かせている部分もある)まだまだ現在進行形であるこの作品がこれからどう進化していくのかも、楽しみなのです。

そしてやっぱり今の私の中では、井上芳雄坂本真綾があってこそのダディロングレッグズなので、二人のダディがまた観られて本当に本当に幸せでした。

DVDの発売発表は、いよいよこれで最後なのかなという気もしてちょっと切ないけれど、やっぱりめちゃくちゃ嬉しい。何十回、何百回観てもまた観たいと思う作品を、家のテレビで一生見られる!すごいね?!映像ってすごい。最近のミュージカル界、ほんの数年前までならありえないと思っていたことが続いている。
もうサヨナラ公演を見納めた気分だけど、もしかしたらまたこの二人でダディを観られるのかもしれないし、また全然違った二人にも会えるのかもしれない。楽しみです。ダディ大好きです。再演してくれてありがとう。

 

ついでにこの夏に韓国で観たダディの感想。こちらは少女漫画でした。

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