ベルリン、わが愛/Bouquet de TAKARAZUKA

友人の徳により1階3列センターSS席という神席で2017年の観劇納めをしてきました。
観劇もライブも、席の位置が良いに越したことは無いけど、宝塚、特にレビューは圧倒的に「席の良さが感動を左右する」舞台だと思う。ていうか、席があまりにも良いと「目の前に美しいひとがいる…」という感動だけで全てが吹っ飛ぶ。銀橋が近すぎて、香りまで漂ってきました。はあ、一年の最後に美のオーラをばしばしと浴びて、エステ並みの美体験をしたわ。幸せ。

そして神席以外の感想は、なんとも…だったので、今回の公演が好きだった方はスルーしてください。笑

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ベルリン、わが愛 

結論から言うと演出家の原田先生が合わない。これに尽きる。笑


なんというか…全てが中途半端。華やかなベルリンの映画界とナチス、テーマも舞台も役者も悪くないのに、どうしてこうも詰めが甘い作品になるのか。
そういえば「ナチスの将校に横恋慕されたユダヤ人の女優」という同じテーマで、同じように話がぼんやりしてて全然面白くなかった芝居があったよな…花影アリスちゃんのバウ主演作で…と思い出してぐぐったら同じ演出家で笑ってしまった。ほぼ同じテーマで書いてるのは宝塚あるあるだからまだいいとして、ドラマに全然進歩が見られない!どういうこと!

好きなところもあった。
場面でいうと、幕開きの映画館。中詰めかというくらい人がたくさんいて、迫力あるし、大事な登場人物が実はみんな集まっているのもいいと思う。リピーターはこの場面で誰がどこにいるか確認できて、楽しそう。
あと、映画のカメラテスト前の楽屋シーンも好き。鏡台がずらっと並んでいて、女優たちが思い思いにメイクしている様子もいいし、ベニー演じるテオがジルにメイクを教える一連の流れは色気がある。
舞台装置も視覚的におっと思うところが多かった。全体的に映画のフィルムを意識した美術(エーリッヒの家の右上に波打っていたやつは謎だったけど好きです。あと舞台に縦に伸びるフィルムがナチスの鉤十字とユダヤの星に塗り替えられていくのも、ベタだけどわかりやすくて良かった。)は良かったし、星空の演出は素敵だったし。本当に、原田先生はレビュー作家になればいいんじゃないかな…。

なんか、ストーリーが支離滅裂で破綻しているというわけでは無いのだけど、とにかく脚本が薄っぺらくて、なぜそこまで噛み砕いたセリフにするの?余韻とか、想像の余地とか考えないのかな??と思うところが多々。
そして感情表現は大袈裟なくらい説明的なのに、人物描写は驚くほど適当。
実在の人物をあれだけ登場させておきながら、なぜもっと背景を掘り下げないのか…カチャ演じるゲッペルスなんて、芸術に造詣が深いナチスの幹部なのに、脚本だけではただの横恋慕おじさん。。(カチャは本当に頑張って演じていると思う。重みのある悪役をどっしりと演じていて、専科に行って成長してるなあと思いました本当に。)
ケストナーはかろうじて爽やかな青年という感じになっているけど、実在のドイツを代表する絵本作家なんだから、もうちょっと、もうちょっと何かあるでしょうよ…。人間性を表す歌とかさ…。
そしてトップコンビの関係性も、あまりにもあっさり。最初は意図的に恋愛メインにしたくないのかな?と思ったけど、なんとなーく最終的にはくっつきはするし。それなら出会いの場面をもっと印象的にするとか(あんな後半になるまで登場しないなんて、ヅカオタじゃない人が見たらヒロインだとわからないと思う、オリキャラならなんとでもできるでしょ!)、二人の場面に歌やダンスを入れたりすればもっと奥深くなるし、観客側の想像も広がるのに!
星空を眺める場面とか視覚的にもとても印象的で綺麗なのに、なぜそこをさらっとスルーするの!ついでに愛も語ろうよ!?ゲッペルクの家から連れ戻した場面とか、二人でもうちょっと濃密な会話をさせたらいいのに!なんでそのまま帰るの!と肩透かしを食らう場面も多い。いや、それも意図してやってるならいいんだけどさ…。

時間の流れも全くわからない。テオが映画監督に名乗りをあげて、撮影し、「忘れじの恋」が成功するまではなんとなくわかるけど、そこからナチスの台頭、文化統制、二人の亡命…まではどれくらいの時間軸なんだろう?
某新聞の舞台評によると「メトロポリス」の発表からナチスの統制まで実際は5年以上の時間があるらしいけど、それは全く伝わってこなかった。
ジルがゲッペルクに呼び出された時も、「初々しい新進気鋭の女優」って感じだったけど、実際は押しも押されもしない人気女優になっていたという設定なのかな。。衣装もちょっとゴージャスになってたしな。それならその後の「自由を求めるアイコンとしての女優」という扱いもまだ理解できる。
デビュー作でちょっと目立っただけの女優が「君は映画界の自由の象徴だ」みたいに扱われているのが、どうにも理解できなかったんだよね。

というかそもそもの話をすると、ナチスユダヤ人とか、きっちり描けないのなら軽々しく扱ってはいけないテーマだと思うし、ナチスをなんとなく都合のよい悪役として出すのはどうなのかなー。社会派っぽい作品を目指していたのなら軽すぎるし、メロドラマにするには人物描写もドラマもあっさりしすぎていたと思う。うーん、あらゆる面で中途半端…。それと反比例するポスターの重々しさはなんなんだ…。脚本からするともっと爽やかな感じを目指していたのでは無いのか…。どっちなんだ…。

役者の皆さんはとっても頑張っていたと思います。
ベニーは滑舌が気になったけど爽やかだったし、まこっちゃんは相変わらず人の良い役が似合って安定していたし。かいちゃんはキラキラしてたし、天寿光希さんのおじさま役者役は意外とぴったりでびっくりした。今回で退団のしーらんもさすがの存在感でした。カチャも重厚感があって良かった。

Bouquet de TAKARAZUKA

作品としては可もなく不可もなく…って感じでしたが、3列目から観るレビューは最高でした。銀橋近い〜いい匂いする〜みんな美しい〜目が合う〜。
中詰めの衣装がバラバラだったり、そもそもメインビジュアルの衣装があんまり好みじゃなかったり、、といった個人的な不満点はあるけど、往年の名曲が色々と聴けるし、みんな溌剌と楽しそうに歌い踊っているので満足。というかまこっちゃんが楽しそうだからよし!スパニッシュかっこよかったー!

というか今回ね、阿弖流為ってすっごい良い作品だったなって改めて思いました。ショーを見ていて「あっこの人素敵!光ってる!」と思ったら阿弖流為に出ていた男役さんだった、ということが何度かあって。すごく成長できる舞台だったんだなあと思いました。(何目線だよという感じだけど)

しかし「レビュー○○周年記念」みたいな作品がありすぎて、なかなか印象に残らないな…ていうかもう無理に新しいアレンジを考えるより普通に焼き直し再演でいいんじゃないと思ってしまう。。往年の名曲アレンジ以外、新たに良いと思える場面や新曲は無いのだし…まあ記念作品ってそういうものか…個人的には「レビュー伝説」とか好きなので再演して欲しいんだけどな。。まあいいや。

良くも悪くも、宝塚オリジナルってこんな感じでしたわ…と思い出した観劇でした。が、席が良すぎたため「あーー美しいもの観た!」というのが一番の感想です。幸せ。宝塚は命の洗濯。美は正義。f:id:oukakreuz:20171225175917j:imageクリスマスツリーが星組カラー&オーナメントも星で可愛かったです。メリークリスマス!