ありのままで、共に生きよう。アナと雪の女王2

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アナ雪2見に行けた!ので感想。ネタバレ含みます。

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TLの感想が賛否両論で、特に姉妹好きには辛いかも…と聞いていたのでちょっと怯えながら見に行ったものの、自分的には100点満点、むしろ「続編というより、『アナと雪の女王 前/後編』とか『アナと雪の女王完結編』にしてもいいのでは?」と思うくらい、1作目からの流れを綺麗に汲みつつ1で描き切れなかったものを描いている作品だと感じた。ディズニーヒット作の2作目というと新しい敵や冒険or過去編か別サイドストーリーが王道だけど、今回は1や短編上映も踏まえた上で、この2をもってFROZENが完結するのだなと素直に納得できた。

エルサの自由とアナの自立

個人的には1作目も見終わった後に不満があった訳ではない。(とにかく好きなキャストが揃っていてミュージカルオタク的に楽しくて仕方なかったし)ただ前作アナ雪は"Wヒロイン"や"真実の愛が王子様の愛ではなく姉妹愛である"という部分の新しさが強くクローズアップされていて、実は近年のディズニープリンセス物にしては珍しいくらいキャラクター個人としての成長や変化については曖昧なままにされた作品ではあったのだった。

エルサの魔法の力をきっかけに幼少期に隔絶されていた姉妹。アナの初恋を機にエルサの力が暴走してすったもんだあり、家出した姉。でも妹が愛の力で連れ戻しました。エルサは自己否定からちょっと抜け出し、アナも初対面の男と結婚したら駄目だってわかりました。完。

アナと雪の女王 (字幕版)

アナと雪の女王 (字幕版)

  • 発売日: 2014/07/09
  • メディア: Prime Video
 

アナは大好きな姉とまた暮らせるようになって、気の合う恋人クリストフも近くにいてハッピーライフだけど、エルサは同じくらい満たされているんだろうか?なんかエルサって幸せのハードルがめちゃくちゃ低そうだから、アナが近くにいるだけで前よりずっと幸せだし…と思っていそう。そもそもエルサって女王になりたくてなった訳ではないし、魔法の力を使いこなせるようになったところで自分だけが普通じゃない疎外感はあるだろうし、アナ・クリストフ・オラフと一緒にいるときも一人だけ「保護者」感がすごい。だから今作で水の馬が出てきて、バトルの末にエルサと信頼関係を築いていた描写は「やっとエルサに対等な友達、眷属ができた…!」と嬉しかった。もちろんエルサも今の生活に満足してはいたんだろうけど、「自分が何者なのか」を理解しないとありのままの自分が本当に何を求めているかはわからないはず。

エルサが一歩踏み込んだ自己理解をして自分の生き方を見つけると同時に、アナも「女王の妹」という立場から「愛する国を守る人」に成長をする。エルサを永遠に失ったかもしれない、という絶望から「自分にできる最善のことをしよう」という気持ちに目覚めるThe next right thing、本当に良い曲。今作はこういう、一曲の中で感情の変化を歌っている曲が多くて、音楽の使い方がよりミュージカル的になっているなあと感じた。1より2の方が舞台化向きだと思う。

幼少期からずっとすれ違い、やっと分かり合えた姉妹がたった3年でまた離れて生きることを選ぶのは少し寂しい。けれど過保護なくらい互いにべったりだった姉妹が「離れていても大丈夫」と思えるようになったのは良いことのはずなのだ。自分のルーツを深く理解した後のエルサはより自信を持って輝いているように見えるし、元々無限の「与える愛」を持っているアナはきっと良い女王になるだろう。エルサは森で、アナは王国で、共に生きよう。(feat,もののけ姫)まあエルサも別世界に行ったわけじゃないし、なんか毎週くらい会えてそうだし。実家を出て隣のマンションに引っ越したくらいの感じじゃないかなと思うw

過去を無視したまま未来は作れない

姉妹の成長と共に今作のテーマだな、と思ったのがこれ。ノーサルドラとの過去の確執、最初に手を出したのがエルサ達の祖父だったというストーリーはなかなか思い切ったなと思う。これまでのディズニーであれば、「悲しい双方の勘違い」もしくは「王は知らなかったけど、悪い大臣(ヴィランズ)がいて勝手に手を回して族長を襲っていた」みたいな設定にして、責任逃れをしていたと思う。祖父王はノーサルドラの民を騙した卑怯者であり、精霊達の怒りを招いた張本人であるという、プリンセスの血統にケチがつくような設定を敢えて入れてくるところに今のディズニーの強さを感じる。
過去の過ちを認めることは難しい。自分ではない先祖の罪であれば尚更のこと。でもそれを乗り越えて、正しく過去と向き合わない限り未来の話をすることはできない。真実が明るみになるまで双方の民が35年間も霧の世界に閉じ込められていたことがそれを物語っている。エルサとアナが正面から先祖の罪に向き合い、自らの行いで世界を正したからこそ、ノーサルドラの民と和解して新たに共生することができるのだ。

共生といえば、世界的なトレンドである「サステナブル」「自然との共生」も色濃く出ているなあ、と思った。自然と共に生きる民VS街で暮らす人間という構図はポカホンタスを思い出すけれど、アナ雪2はそういう面でも「付かず離れず、互いの違いを認めて共に存続させよう」という時代の進歩を感じた。

全体的に割とシリアスなストーリーの中で癒しなのがオラフ、ネタ枠がクリストフ。オラフの1分でわかるアナ雪劇場面白かった。霧にぶつかって跳ね返されて喜んでまた飛び込んでいく様子、モデルがコーギー犬だというのが納得。完全に犬の動きだったよね。可愛い。クリストフはほんと、君は何しに来たの?って感じの存在感の薄さが最高。前作ではせっかくジョナサン・グロフを起用したのに歌うの5秒!?とうけてたのが、今回は無駄に(すみません)長尺のネタ曲 Lost in the Woodsが登場。絶対スタッフみんなノリノリであのMV作っただろ。シリアスな顔で歌うクリストフを見ながら爆笑しそうになったけど周りが静かなので耐えてた。あれ笑っていい所だよね??

全体的に秋感のある姉妹の衣装やアクセサリーもとっても可愛くて好みだった。アナ雪は本当にモチーフ・デザインが好きだな。そして映像が美しい!森の描写やなんといっても水や氷の細やかさ!あれが実写でないなんて信じられない。森や街は架空の世界を作り込んだ上でその世界でドローンを飛ばすようにして撮影している、とふしぎ発見のインタビューで言っていたけど、「言ってることはわかるがそんなことができるのがわけわからん」という感じですね。アニメーションの進化は止まる所を知らないな。

完結編として完璧、とは言ったものの、姉妹の様子はいつでも見たいのでその後を描いた短編とかテレビシリーズはいつでもお待ちしています。

アナと雪の女王/家族の思い出 (吹替版)

アナと雪の女王/家族の思い出 (吹替版)

  • 発売日: 2018/06/28
  • メディア: Prime Video
 

 

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