余剰を愛せるか マンマ・ミーア!2 ヒア・ウィー・ゴー

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マンマ・ミーア!2ヒアウィーゴーを見てきたので感想です。(どうでもいいけど原題のアゲインはどこへ行ったんだ)ネタバレになる部分は最後の「つづきを読む」からになります。

個人的には大ヒット作の続編こそ蛇足ではなく「続編があるからこそ初代の魅力が増す」と思えるような作品にしてほしいし、正直そうでないと作る必要ないだろと思ってしまうんだけど、今回のママミア2については残念ながらあくまでも1を楽しんだ人向けのお祭り、同窓会的な作品だった。ということで、この作品を愛せるかは「余剰を愛せるか」にかかっていると思う。私個人のことをいえば、愛せる余剰と全く愛せない余剰がありました。後半「なんでこの映画作ったんだ!!?」という文句になってしまうので、今回のママミア2が最高だった!!と思ってる方はここで読むのやめてください。先に言っておきますが私はママミアという舞台作品が最高に好きで、舞台版に対する思い入れは人一倍あります。四季でも他国でもいっぱい見たし映画1作目は公開日に行ったしDVD持ってるし自分の結婚式でも曲いっぱい使いました。

先にマンマミーア!2で良かったな〜と思った箇所を書きます。

・リリー・ジェームズが可愛い
とにかくかわいい。笑顔が溌剌としていて歌声が綺麗で健康的で表情がくるくる変わって、チャーミングという言葉がぴったり。あの役が悪女に見えないのはとにかく彼女の魅力によるもの。
あと、リリーとメリル、メリルとアマンダが似ているわけではないのに、リリーが間に入ることによって「なるほど、リリーが年取ったらメリルになって娘がアマンダになるのね」って納得感があった。なんとなくリリーのドナ解釈がメリルより舞台版に近いからかな。(ていうか1の時点でメリルや親世代は設定上、ドナにしては年配すぎるのだよな…)

・コリン・ファースがファンサービスし過ぎ
ひたすらコリンの可愛さ炸裂。なんであんなフェチ心をくすぐってくるんだ?自分で自分の手首を縛るとか、水に落ちて行くとか、謎のタイタニックポーズとか、全くストーリーに必要ないしハリー別にあんな不思議ちゃんキャラじゃ無かったはずだし、ファンサービスでしかない。コリンファンはとりあえず見るのが良いと思います。

・景色が美しい
ミュージカルの舞台を映画化する際に一番重要なのがロケだと私は思っている。やっぱり「そこにある」画の説得力ってある。なので1を見た時も役の解釈に違いはあれど、とにかくこの作品のもつ爽やかさ、開放感が視覚的にすぐわかるギリシャの島に感動したのだ。今回もパリ、ギリシャが出てくるけどとにかく全てが美しい。特に島の景色はこの世の楽園そのもの。初めて訪れたドナが移住したくなっちゃうのもわかる。ソフィが作ったホテルも内装がとっても素敵で実在するならぜひ泊まりに行きたいくらい。

・ABBAの曲の楽しさ、アレンジの面白さ
マンマミーアという作品はそもそもABBAというポップス歌手の曲だけを使ってストーリーのある舞台に仕上げていることが大きな魅力であり面白さです。「YOU=あなた」という歌詞が、場面によって「娘」、「元彼」、「友達」などなどそのシーンに合った関係性にぴったり当てはまり、「この曲ってこんな解釈ができたんだ!」という楽しさがあった。これは2も引き続き同じ。また元がディスコミュージックが多いのもあり、失恋の歌なども暗く重くなり過ぎないのがハッピーで良い。
今回の2は1で使用されなかった楽曲も使われていて楽しいし、1や舞台版とリンクしたリプライズやアレンジが多かったのもファンには嬉しかった。(ハリーとパリを歩いている時にOur last summerが流れたり、洗礼式のために階段を上がる場面でSlipping through my fingerのインストが流れる、など。)
ただ新規の曲の少なさ(そりゃそうだ、別に新曲じゃないんだもの)に、この数曲だけを新たに使いたいがために映画作ったの??と不思議な気持ちに。

とまあ、1を好きな人のために同窓会的に作ったお祭り作品なのだ、と割り切ればいろいろと楽しめる部分はあるのだけど、それにつけても「これ、1を見てない/もしくは記憶が薄い人は見ていて楽しいの???」と思ってしまった。
脚本が適当すぎるし(起承転結すらほぼ無くて、ミュージカル映画は歌って騒いで楽しければいいじゃん、と言われているようでモヤモヤしてした)キャラクターもメインの数人以外はそれでいいのか?というぼんやりした設定。

ドナ&ターニャ&ロージーだけは「あーそのまんま!」という配役でキャラクターもとっても魅力的だったけど(それにしてもオックスフォード卒しかも総代という無駄な高学歴設定もよくわからなかった…ドナはウルトラチャーミングだけど、言動に教養や思慮分別を全く感じなかったよ…)それにしても過去編は正直全てが蛇足だなーと思ってしまった。この映画の中ですら別に現代の話とリンクしないし…あの回想を入れた意味は本当になんだったのだ…。たとえば大学卒業後にドナが旅に出た理由がもっとはっきりしていたり、実はずっと昔からホテルを作りたいと思っていたという設定があったり、あと母親との確執みたいなものをもっと深く描いてくれていたりしたら、ソフィの代になってそれらの問題が時間を経て解決したね、というようにまとまったと思うのだけど。というか母親に関しては1を見た時点ではかなり深刻な亀裂があって絶縁しているんだと思っていたから、こんななんとなーく仲悪くてなんとなーく連絡はしてて、突然ラストで現れて歌って定住…みたいなことになってびっくりだよ。シェーラを出したかっただけなのはわかるけど。正直ママミアは「親や親戚から隔絶して、父親もなく、母娘だけで生きているドナとソフィ」が友達や島の人々と支え合って明るく楽しく生きている物語だと思っていたので、別にわざわざ祖母と和解とかいらないんだけど…と思ってしまった。

あとこれを言うと本当に元も子もないのだけど、マンマミーアの一番のネタは「父親が誰かわからない」ことで、でもそれを重い問題として解決しようとしたり、ドナがふしだらな母親だという方向にはならず「わかんなくてもいいよね!パパは3人いるんだよ!」って笑い飛ばして終わるのが大好きなんですよ。ドナの過去に何があったかはわからないけどきっと性に奔放で、20年後に呼び出しても男たちが集まってくるくらい魅力的な人だったんだな〜、3人それぞれと色々なドラマがあったんだろうな…みたいな、想像の余地があるところが良かったの。
それを今回のように思いっきり詳細に過去編を描いてしまうと台無し。そしてわざわざ描いておきながら、3人の男が全員エピソードがうっすい。薄すぎる。全員どこがいいのかわからない。旅先でハメ外した結果にしか見えない。せめてサムくらい、もっと別れの重みとか欲しかったよ。三文オペラ以下だよ。そしてギャグなの?と思うような3人立て続けの恋(あれで普段はこんなに軽い女じゃないのよ、と弁明する意味もよくわからない)の後に父親が誰かわからない妊娠、って…それでいいのか?!
ドナもソフィも妊娠によって強くなった、自分の進むべき道が見えたというのは良いと思うし、ラストもそりゃあ感動してぼろぼろ泣きましたけども、それにしてもドナの妊娠にポジティブな要因が見当たらないよ。
ということで、過去編はずっと「リリーは可愛いけどこれ全部知りたくなかった…」と思いながら見てもやもやしていた。あと過去編と現代の行き来が頻繁すぎて、混乱する人はいないのかなあの演出。あと現代の大事なストーリーが過去編の間にさらっと飛ばされていたりする(スカイはいつNY出てきたんだ、とか)ので余計に双方のストーリーが軽くなっていたような…。

そして一番嫌だったことは下記、ネタバレなので未見の方は避けてください。

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ここまで過去編が蛇足だ!!という文句を書いたけど、一番許せなかったのは、

ドナが死んでいること

だと思います。これはちょっと、本当に地雷だった。
ソフィの妊娠とか祖母の登場とか大事な部分をほとんど予告編でネタバレしているのはこれを隠すためなのだろうけど、いやいやいや。公式であらすじで一言でも「ドナの死後…」と書いてくれていたら心の準備をしていったのに。
何の説明もなくすでに死んでいる設定には心が全く追いつけなかったよ。
私の中でマンマミーアの主役はドナと友人と元彼達で、ママミア1は「ソフィの結婚物語」でありながら圧倒的に「アラフォー親世代の青春物語」だったので、2が始まって早々にドナは死んでいます、理由はわかりません、みたいにあっさり言ってきたのが許せなかったのかもしれない。これが何年後の話なのか知らないけど、ドナの過去の恋愛の詳細を見せてくるくらいなら、ドナのその後のハッピーな暮らしの方が知りたかった。
よほどの理由があってメリルが出演できなかったってことなのかな、と思ってたらラストは出てきているし。なんやねん。なんのための死んだ設定やってん。「ドナってば自由だからまた一人で突然海外に旅に出ちゃったの〜」って設定じゃだめだったの?なんで死ななきゃいけなかったの???監督と脚本家の胸ぐらを掴んで問いただしたい。こんな未来が見たくて映画館に行ったんじゃない。これが原作設定ならわかるけど、映画オリジナルでなんでこんな設定にしたの〜〜本当に理解不能。

 

ラストの全員集合のショー場面は楽しかったし、1で使用されてた場面を見直したくなったりしたし、楽しいことはあったけど、個人的にはおそらく二度と見ないかなーと思います。。好きなキャラクター(というか主人公)が殺されている続編は地雷だということがわかりました。