【最近見た映画】リメンバーミー /タクシー運転手

最近見た映画について。それぞれネタバレ含みます。

リメンバー・ミー

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ピクサーは外れが無いとわかっているので安心して見られる。安定の脚本と音楽、ポリコレ的にもやっとする点もなく、お涙頂戴になりすぎることもなく、二段階のオチとハッピーエンド付きで安心して楽しめる娯楽作品。

冒頭から繰り返し発せられる「家族が何より大事だよ」というメッセージが主人公の経験によって変化するのかと思いきや最終的にやっぱり「家族が一番大事だ!」みたいな結論になっているのはちょっと驚いた。
家族の絆を崩さないことを重視するあまり価値観の押し付けが発生していた「家族愛」が、互いの夢を認めながら支え合う「本当の家族の絆」に進化する、ということで、良いんだろうけど。。

これは言いがかりだという自覚があるけど、家族という子どもにとって「自分では選べない、生まれながらに決まってしまっているもの」を全面的に肯定されてしまうとちょっとしんどいなーと思うことがある。
例えば主人公ミゲルが信奉していた歌手エルネストが実際には大嘘吐き野郎で先祖でもなかったというオチだからいいものの、本当に先祖だった場合はどうなるの…?
最近のディズニー/ピクサーはあまり徹底的な悪役というものを描かない方針のように見えたので、本来は美しい愛で結ばれていたはずの家族と悪役、みたいな構図にして終わったのはちょっと違和感があった。

そういう意味でも、劇場で見た人たちが「原題(COCO)のままが良かった!」と言っていたのがやっとわかった。これはママ・ココの物語だと思って見た方がすっきりして感動するなあ。

初のメキシコ舞台の長編アニメということで、色彩が豊かで画面がとても美しかった。元々ディズニーシーのロストリバーデルタやエプコットのメキシコ館の雰囲気が大好きなので、美術にずっとときめいていた。あと死者の国という考え方とか、骸骨の装飾とか、本当に異文化だなあという感じでわくわくする。そしてメキシカンな音楽も陽気で楽しい。劇中歌どれもすごく良かったな。

タクシー運転手 約束は海を越えて

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周囲で大評判だったので見た。韓国映画自体、見るの久しぶり。
多数の死傷者を出した光州事件を世界に伝えたドイツ人記者と、彼をソウルから光州まで送り届けたタクシー運転手の交流を描く実話ベースの映画。

1980年の民主化運動である光州事件について、恥ずかしながら私は存在すら知らなかった。ので、映画内で描かれるその様子にかなり衝撃を受けた。これは戦争映画ではなく、しかもほんの40年ほど前の実話だというのが信じられなかった。光州では軍が民間人に銃を向け虐殺とも言えるような状態になっているが、ソウルどころか隣の州にすらその情報は一切伝わっていない。インターネットのある現代でもこういう情報の遮断が起きる可能性はあるのだよな。

主人公のタクシー運転手マンソプを演じる名優ソン・ガンホの演技がめちゃくちゃ良い。聖人君子どころか正義感があるわけでもない、一人娘のために小狡いこともする小市民。彼が光州の人々との交流を経て、友人のために自発的に起こす行動や、安全な場所に逃げ果せた後に良心の呵責にかられる様子がとても自然で、なまじ正義感のあるイケメンヒーローの話でない分ぐっときた。ドイツ人記者ピーターの偽善や好奇心からくる「ジャーナリズム精神」が凄惨な現場を見て変化してくる姿も良い。

デモに参加している大学生のジェシクや、現地のタクシー運転手ファンら登場人物は皆魅力的なのだけど、後半の展開はさすがにやりすぎというか、お涙頂戴すぎでは…いや、しっかり泣いたんだけど。主要人物が見せ場の後にばったばったと死んでいくあたりでノンフィクション映画というよりかなりドラマ寄りな印象になってしまった。一昔前の韓流ドラマが交通事故や記憶喪失が頻出するのを思い出したけど、ちょっとああいう感じ。

監督はインタビューで「映画の通りだと言う人もいれば、こんなものではなかった、もっと酷い状態だったという声もある」と言っていて、生き証人たちがいるうちにこの映画を作りたかったのかな、と思った。しかし映画ポスターの爽やかさ(笑顔のタクシー運転手が車窓からこちらを見ている写真)といい「約束は海を越えて」というサブタイトルといい、なんかタクシー運転手と海外から来たお客さんの友情物語みたいに誤解されません?いや間違ってはいないけど、そんなイイ話っぽい映画ではないのではこれは。でも戦争映画っぽいのも違うだろうし、ポスターって難しいな。 

 

ここ最近見た映画

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