事あるごとに「日本版再演して!」と叫んでいたダディロングレッグズがシアタークリエで3年ぶりに上演された。
正直前回の再演時に「このキャストでダディを見られるのは最後かもしれない」と覚悟を決めていたので、キャスト続投で発表された時はもう言葉にできないくらい嬉しかった。このチケットが取れたらもう今年の他のチケットは要りませんと願掛けしていたら、日頃の行いが良すぎたのかとんでもない運を引き寄せなんと3回も観劇のチャンスに恵まれました。しかも1階一桁列センターブロック…来年あたり死ぬのかもしれない。本望です。本当に本当に観られてよかった。
ダディロングレッグズという作品を観るとき、私はジルーシャに寄り添う、というよりはジルーシャになって舞台を追ってしまう。
他の舞台だったら、客席から第三者として「この役は素敵な人だな」「この二人の関係性はかわいいな」と思うのだけど、ダディの場合は、ジルーシャの一言一句が染み渡るというか、自分が経験していない彼女だけの悲しみですら、乗り移ったようにこちらまで悲しくなってくるんですよね。
ダディはずっと考えていたけど上手く言葉にできなかったものをすっきりとした台詞にしてくれている、と思うことがたくさんある。それをウィットに富んだ言葉で聞くから余計に、なんて瑞々しいまなざしを持った賢い女の子なんだろう、とますますジルーシャが好きになる。
— 桜花 (@oukakreuz) 2017年11月3日
彼女の孤児院育ちのコンプレックスにまつわる言葉は、同じ立場ではない私たちもなぜか深く共感してしまう。会話がわからないと嘆く曲はコミカルだけど泣けてしまうし、新演出になってから特に繰り返し挟まれる「自分なら孤児院でどんな教育をしたいか」という話は、他人と関わりながら生きていく上でとても重要なことをたくさん教えてくれる。
「いかなる人間にとっても重要な資質は想像力だと思うの。それは相手の立場に立って考える助けになります。親切で同情心と理解力のある人間にしてくれる。そして、それは子供の時に植え付けられるべきものなのです。」
幸せの秘密は本当に本当に大好きで、結婚式でも流したし、凹んだ時に必ず聴く曲のひとつなのだけど、一番大事なメッセージは歌に入る前の台詞だと思ってます。
「わかるでしょうダディ、人が性格を問われるのは最大の困難に立ち向かった時ではないのよ。勇気さえあれば危機や悲劇を乗り越えることはできるんだもの。でも、日々のちょっとした障害を笑い過ごすために必要なのは、強い、精神力なんです。」
本当にそうだよなあ、、って日々思っています。イライラしそうな時、いつもこの台詞を思い出してる。
なんだろうな。観ている間は自分がジルーシャになっているし、「ジルーシャみたいな考え方をして、真っ直ぐに頑張れる女の子になりたかった」って強烈に思う。私は小説や漫画や映画も含めても、他の作品で「この子になりたい」なんて思う経験をしたことはないです。
周囲のミュージカルファンの中でも同じく「ダディだけはなぜかジルーシャ目線になるよね」と言ってる人が多いなあと思っていたら、今回パンフレットで言及されていた。ある程度は意図的なものだったんだなあ、ジョン・ケアードも真綾さんもすごい。
今回、新演出になったことで全体の流れやキャラクターの解釈が少しずつ変化していて、寂しかったりびっくりしたりしながら楽しみました。
オフブロライブ、韓国版と観てきて変更点を知ってはいたものの、慣れ親しんだ井上坂本ペアで・日本語で観ることで改めて「こういう作品に変化したんだな」と腑に落ちた感じ。
やはり一番の変化は歌詞などにジャーヴィス側の視点を大幅に盛り込んだことで観客がジャーヴィスに寄り添いやすくなったこと。
【ダディ】ダディ側ソロの変更、マンハッタン、台詞変更でかなりジャーヴィスに寄り添う演出になっていて、チャリティはもちろん幸せの秘密リプライズで「坊ちゃん、愛を知ったんだね、本当に良かったね…」とめっちゃ泣いてしまった。
— 桜花 (@oukakreuz) 2017年11月3日
【ダディ】新曲マンハッタンはジャーヴィスのどやどや感がかわいいよな〜。ジルーシャのわくわく感が伝わるショーウィンドウの女の子も好きだったけど、マンハッタン自分の庭を案内したくてたまらないんだね坊ちゃん…デートできて良かったね…ってほのぼのする。
— 桜花 (@oukakreuz) 2017年11月3日
【ダディ】これまではいつもジルーシャ側で感情移入して泣き、ジルーシャの思考の尊さに泣き、萌えて泣きって感じでジャーヴィスはチャリティまではそこまで思考が見えず、ラストのジルーシャかわいそう!真面目に謝れ!って感じだったのにかなりジャーヴィス目線になってたなあ。
— 桜花 (@oukakreuz) 2017年11月3日
ただ、演出は変わっているものの中身は私の大好きな、偏屈なぼっちゃまのままで、大変嬉しかった!!私は井上芳雄の、ひねくれたジャーヴィスが大好きなんだ〜!!
【ダディ】卒業式、韓国のジャーヴィスは首席のジルーシャを見て無邪気に拍手して嬉しそうに、誇らしそうにしてたけど、芳雄ジャーヴィスはずっと気まずいような名乗れないのが悲しいような複雑な顔をしていて、これだよ!これが私の好きなジャーヴィス解釈だよ〜!!
— 桜花 (@oukakreuz) 2017年11月3日
なかなかデレない、気難しくて拗らせてて中身は純粋な井上坊ちゃんが大好きだーと実感したのでした。これは井上さんの役解釈だけでなく、演出家の意図も大いにありそう。
【ダディ】同時期にオフブロと韓国版を観たお友達ともお話ししてたけど、やっぱり演出がジョン・ケアードかどうかでジャーヴィスの役解釈が大きく違うなあと思った。韓国のダディだけすごくコミカルというか悩み少なそうというかw少女漫画だったなあって。
— 桜花 (@oukakreuz) 2017年11月11日
そして坂本真綾さんのジルーシャはなんかもう、前述した通り理想を詰め込んだような女の子なので、今回も最高でした!しか言葉が無いのだけど、ジャーヴィスの変化に伴って、ジルーシャもまた、「キツいだけの女の子」(パンフレットでご本人が仰っていた)にならないようにキャラクターが変化しているなと。
【ダディ】中盤の演出を変えたからだろうけど、ラストのやな奴で「そうよ」「男性として魅力的とは言えないわね」などの台詞は全カット。
— 桜花 (@oukakreuz) 2017年11月3日
ここの掛け合いは好きだったので、私は少しかなしい…。
変更が悲しい点といえば、ジャーヴィスの歌詞で一番好きだった箇所もカットされてしまった…。
【ダディ】前回はあれ?もしかして聞き落とした?くらいに思ってたけど今回やっと確信した、私が一番好きなジャーヴィスの歌詞「買える星さえ けれど意味など無いさ」は無くなってますね……。
— 桜花 (@oukakreuz) 2017年11月11日
まあそれでいうと、ロックウィローも卒業式も大好きだったからなくなったのはかなり悲しいし、年寄りやチャリティの歌詞が大幅に変わってしまったのも寂しかった、あと2幕で社会主義や政治的なメッセージが強くなったのも個人的にはうーんと思ってるのだけど(パンフでその辺りも触れられてましたね、ていうか今回のパンフは本当に内容が濃かった)ただそういうのも全てひっくるめて、一度観たものと全く同じものは観られないのがナマの演劇の醍醐味なわけだから(と自分に言い聞かせている部分もある)まだまだ現在進行形であるこの作品がこれからどう進化していくのかも、楽しみなのです。
そしてやっぱり今の私の中では、井上芳雄と坂本真綾があってこそのダディロングレッグズなので、二人のダディがまた観られて本当に本当に幸せでした。
【ダディ】ダディという作品が大好きなんだけど、やっぱり真綾ジルーシャと芳雄ジャーヴィスがものすごーーーく好きなんだなあ、この2人の役の解釈、というかジルーシャとジャーヴィスがそのまま存在しているシンクロ感が最高なんだなあって実感した。100回観たい。DVD化ありがとうございます。
— 桜花 (@oukakreuz) 2017年11月3日
【ダディ】井上坂本ペアはこれまで見てきた中で一番、IQが高い故のこじらせみたいなのが強いカップルだなーと思っていて、ユーモアにもブラックさがあって、でもその毒の部分と真っ直ぐで純粋な部分のバランスがすごく良いんだなあ。韓国版が少女漫画ならこっちは高慢と偏見とか、英文学な感じ。
— 桜花 (@oukakreuz) 2017年11月11日
DVDの発売発表は、いよいよこれで最後なのかなという気もしてちょっと切ないけれど、やっぱりめちゃくちゃ嬉しい。何十回、何百回観てもまた観たいと思う作品を、家のテレビで一生見られる!すごいね?!映像ってすごい。最近のミュージカル界、ほんの数年前までならありえないと思っていたことが続いている。
もうサヨナラ公演を見納めた気分だけど、もしかしたらまたこの二人でダディを観られるのかもしれないし、また全然違った二人にも会えるのかもしれない。楽しみです。ダディ大好きです。再演してくれてありがとう。
ついでにこの夏に韓国で観たダディの感想。こちらは少女漫画でした。