本もぐもぐ2019/06〜08

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この夏はとにかく飛び回っていてゆっくり本を読む時間がなかなか確保できず。図書館で予約順が回ってきたものを返却期限までに慌てて読む日々でした。3ヵ月分まとめて読んだものメモ。

・小説

・1984年

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

 

中華圏の諸々を発端として全体主義社会/ディストピア物に興味を持ち、今更ながら初読のオーウェル。本当に今更なんですけど衝撃を受けました。これまで読んだいろいろなディストピア物・監視社会を描いた世界観で斬新だと思っていたものはほぼすでに1984年で描かれていたんだなあと気付けた。あと、うまく言語化できなかった社会の語彙が減ることの危険、ものを記録に残すことの意義が自分の中で腑に落ちた気がする。読めてよかった。

・パワー

パワー

パワー

 

世界の女性だけに突然人を殺せるほどの強い力が目覚める…という設定のディストピアもの。

アメリカでは女性議員が権力を握るようになり、ニュース番組ではキャスターは女性に、男性がアシスタントとなる。インドやサウジアラビアでは女性による反乱が起こり政府が倒れる。軍事国家では男性は女性保護者の同伴なしに外出できず、運転も許されなくなる。強い女性が国を作り、男性の奴隷を囲い虐待し、核を武器に戦争する。「女性が国を治めたら世界は良くなるだろう」という甘い話ではなく、力で圧倒的に優位に立ったもの、生殺与奪権を持ったものがどうなるかを描いているのが皮肉。力の目覚め、消滅、それを身近で見る人間…と基本的には個人レベルの話なのも面白い。歴史小説の設定や入れ子構造にくどい部分はありつつ、最近読んだディストピア物で一番面白かった。

・侍女の物語 

侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)

侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)

 

1984→パワーときて読まないわけにはいかない、ということで侍女の物語。ネトフリのドラマ「ハンドメイズ・テイル」が気になってあらすじを知っていたので、主人公の境遇がわからないまま読むという楽しみ方ができなかったのが残念。もはや有名すぎる設定なのでそれも難しいとは思うけど。

ディストピア設定のものをいくつか読んで、監視社会や自由を奪われることの恐ろしさを再認識するというよりは、「国家はどうすれば人から思考を奪えるか」を考えることができたのが良かった。引き続き全体主義に関するものは読みたいモード。

・本日は大安なり

本日は大安なり (角川文庫)

本日は大安なり (角川文庫)

 

ずっと重いものを読んでいたので合間に明るい話を挟みたいと思って借りた。結婚式場を舞台にしたオムニバス。明るい方の辻村さんでさくさく読めて良かった。拗らせてる双子ちゃんの話が辻村百合作品に通じるものがあり良きでした。

・紙の動物園

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

「生まれ変わり」がめちゃくちゃ面白かったので、他の作品も気になり初読。紙の動物園の方が有名だと思うのですが。表題作でめちゃくちゃ泣いてしまった。SFなのだけど郷愁を覚えるような短編が多く、「生まれ変わり」より作者がアジア系なことを強く感じる一冊だった。今ケン・リュウが編纂した中国SFアンソロジーも予約中なので読むのが楽しみ。

・あなたの人生の物語

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: テッド・チャン,公手成幸,浅倉久志,古沢嘉通,嶋田洋一
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/09/30
  • メディア: 文庫
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紙の動物園に泣いた…とツイートしていたらりこさんからこれも読んでみて、と勧められて翌日には借りていた。表題作、なるほど母の物語だった。時系列の歪みが面白い小説なので、映像でどうなるのか気になる…けど宇宙人のビジュアルは見たくない…。バベルの話も好きだった。学生時代などはSFをほぼ読まなかったので、最近色々と手を出してお約束を学びつつあり楽しいです。しかし短編集は合間に全然違うものを挟まないと設定が脳内で混ざる。

・漫画

・逃げるは恥だが役に立つ

逃げるは恥だが役に立つ(10) (KC KISS)

逃げるは恥だが役に立つ(10) (KC KISS)

 

逃げ恥続編!相変わらず海野先生の観察眼が光りまくりでめちゃくちゃ面白い。単純に結婚の先の妊娠、という話ではなく男性ならではの重圧・ホモソの同調圧力などなど「男性側の生きづらさ」をテーマに据えているところがさすが。少女漫画的な要素は百合ちゃん・風見さんカップルが一手に担っていると考えて良いですかね。良いですね。続きも楽しみ。

・ゴールデンカムイ

ゴールデンカムイ(18) (ヤングジャンプコミックス)

ゴールデンカムイ(18) (ヤングジャンプコミックス)

 

新刊。馴染みのある阿寒湖が舞台となって楽しいです。早く杉本とアシリパさんが並ぶところを見たいよう。そして鶴見…鶴見ィ…!!ラストに持って行かれました。

・世界で一番、俺が○○

世界で一番、俺が〇〇(7) (イブニングKC)

世界で一番、俺が〇〇(7) (イブニングKC)

 

毎巻毎巻よくこんな展開思いつくな、思いついても残酷すぎて描けないよ…と思う水城せんせい…ラスト1ページで次巻が待ちきれなくなってしまうのも毎回のこと。どこに落ち着くのか全くわからないですね。

・素敵な彼氏

素敵な彼氏 10 (マーガレットコミックス)

素敵な彼氏 10 (マーガレットコミックス)

 

最近の癒し漫画ナンバーワン…。前巻で桐山くんったら男子高校生らしいところもあるのね!可愛い!と思っていたのに…何このスパダリ…す、好き…。ののかが可愛すぎて苦しい。永遠に二人の幸せな生活を見ていたい…終わらないで欲しい…卒業しても大学生編をやってください…。

・違国日記

違国日記 4 (フィールコミックス FCswing)

違国日記 4 (フィールコミックス FCswing)

 

ヤマシタトモコ作品は、昔(BLやHERの頃)かなり好きで全て読んでいて、いつからかメッセージが自分にはちょっと説教臭く感じてきて離れてしまったのだけど、「違国日記」は逆にその説教臭さがとてもよくマッチしている作品だなあ、と思う。叔母と姪、どちらの世代の読者が読んでも面白くなっているのがすごい。槙生ちゃんが変わり者だけどちゃんと友達もいて彼女なりに社会生活を送れている様子とか、学生から見ても救いに感じられるのではないか。あと笠町くんの「ある種の生きづらさを抱えるアラサー女性の結婚したい男」感がすごい。素敵な彼氏と続けて読んだので、「これが高校生とアラサーの理想の男性像の違い…」と遠い目になった。

・セクシー田中さん

セクシー田中さん (2) (フラワーコミックスアルファ)

セクシー田中さん (2) (フラワーコミックスアルファ)

 

グサグサと刺さる名言をコミカルさとふんわり絵柄で包む、芦原せんせい…!(五体投地)って感じの作品。朱里が計算高いのに周りから浮いたり女から嫌われてはいないところや田中さんと朱里の方向性の違う自己評価の低さ、出てくる男たちの憎めない駄目さ…人間を描くのが上手い人だよなあ。単純なのでベリーダンスやりたくなってる。

・大奥

大奥 17 (ヤングアニマルコミックス)

大奥 17 (ヤングアニマルコミックス)

ついにここまできたか…と震える最新刊。面白さが失速しないどころか常に新しい眼差しで現代にも通じる問いを投げかけてくる。「新しい時代を作るのは血でも家でもなく絆」これは2019年の日本にそのまま繋がるテーマ。2004年に連載開始した頃、日本はどんな状態だったっけ?この10年で随分社会も変わったような気がする。大奥の終焉、あと1,2冊でどんな風にまとめあげるんだろう。終わるのが寂しいけど完結が本当に楽しみ。

 

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