あなたが唄えば歓びの歌!「fff-フォルティッシッシモ-/シルクロード〜盗賊と宝石〜」

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悲願であっただいきほのサヨナラ公演を肉眼で観られました…すべてに感謝…(前回の雪組公演ワンスは3枚取っていたチケット全てが公演停止の憂き目にあい、もうこのままだいきほとはご縁が無いままお別れになるのではと思っていたよ…)うっうっ。

劇場で門松とかお雛様に出会えるとうれしくなるよね。

もうこの場にいられただけで満足です(滂沱の涙)という気持ちなので特に語るべきことは無い(もしくは語り出すと2人がいかに素晴らしいコンビであったかの話になってしまいそうな)のですが、一応作品の感想もちょっと書いておく!よ!

今回のサヨナラ公演、個人的に一番正直な感想は「fffはショーで、シルクロードは芝居で観てみたかったな…」でした。というか、シルクロードに不満はなくfffに対して結構もやもやしている。なのでfff最高だった!という方は閲覧ご注意ください…。あくまで個人の感想ですので。。

fff-フォルティッシッシモ- ~歓喜に歌え!~

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演出センスは好み、脚本が微妙でした。うーーーん。言葉を選ばずに言うと、過去いろんなサヨナラ作品を観てきたし(サヨナラ作品に名作なしという言葉もあるくらいだしね)それらと比べてfffが特に駄作…というわけでは無いのだけど、正直ウエクミ先生に書いてもらえるんだ!!ということに期待しすぎてしまったかな…。(星逢や神々のような作品を期待してしまった)
「サンホラのアルバムみたい」とも思った。一度ざっと観ただけでは「おそらくこれとかこれには何か深い意図があるんだろうな」とは感じるけどその意図は理解できず、繰り返し観たり考察班の考察をじっくり読みこんでいくのが楽しそうな作品というか。凡人の私の頭では初見では理解できないことが多く、私の頭が足りないのかもしれないけど、しかしサヨナラ作品こそ誰にでも理解できる、観客に寄り添った作品にしてくれても良かったのでは…?と思ってしまったのでした。いや、私以外の観客はみんな理解できてるよ!と言われたら何も言い返せないのですが。。

音楽の神に愛されしだいきほのラストに「音楽」をテーマに持ってきてくれたのは良かったと思う。この作品はだいきほ以外では成立しないと思うし(謎の女はすば抜けた歌唱表現力が必要とされるし、ルイは非モテ拗らせた役専科ののぞみさんの真骨頂…個人的には非モテじゃないだいもんも見たかったけど笑)ウエクミ先生の表現したいこととハマっているのだろうと感じたし、そういう意味では今の雪組の集大成となる作品なのかも。(個人的にはこれがサヨナラじゃなくて2-3作目だったら良かったな…と思ったが)

ベートーベンを主人公に据えておきながら安易に同時代に活躍した音楽家たちの群像劇にせず、「人間の時代」を軸にベートーベン・ナポレオン・ゲーテという3人を中心に展開していることも新しいと思った。そして実際には対面していないベートーベンとナポレオンが精神世界で語るサヨナラお決まりのトップ→次期トップ場面を作っていたり、ナポレオンとゲーテが2人で語る場面があったり(彩彩コンビファンは感涙だろうな)と「宝塚の公式を入れつつ作品を成立させる」ことも意識して下さっているなあ、と感じた。役も多いから退団者もみんな見せ場を持たせてもらっていたし、組子のセリフが多くて良かったなあと。

そして演出は抜群にセンスが良い。一番感動したのはオケピの使い方!コロナの影響でオーケストラがいない空のオケピをあんなに上手く使ってくれるとは!ルイの指揮に合わせて音楽が飛び出す演出や、役者の地下への退場など。新しいなー。「若きウェルテルの悩み」とルイの苦悩が重なる演出も良かった。大きなラッパが大砲に見立てられているのとか、音楽と戦術はどちらも芸術であると数字で表すのとか、ルイと(一方的にファンだっただけなんだけど)ナポレオンの精神的な繋がりが強調されているのも上手い。お衣装も意図的に趣味が悪くしてあるもの(謎の女のピンクドレス…)以外は素敵だった。(ナポレオンの戴冠式の衣装、もしかしてちえねね「ナポレオン」の時の衣装??豪華だったな)

で、なんだかなーと思ってしまったのは、まず天使パート全体がいらない…。みちるちゃんのモーツァルトはめっちゃくちゃ愛らしかったけど…。作品のカラーに対してあのコミカルシーンのバランスが悪いし邪魔だと思ってしまったな。天国地獄のジャッジの話は必要なんだろうか〜。「人生における苦悩や不幸を受け入れて運命を昇華させる、音楽にする」って筋書き自体は良いと思うんだけどな〜それ天界メンバーなしで謎の女だけでもできたんじゃないかなあ…。

「謎の女」も、M!におけるアマデのような概念の擬人化なんだろうなというのはポスター発表の時点でみんな予測できたし、面白いなと思ったし期待していた。ルイの捉え方で外見や存在が揺らぐというのも理解できるけど、活かしきれていないと思う…。そして一ファンとしてはあの童貞の妄想炸裂したピンクの下品なドレスはやっぱりサヨナラの貴重な衣装をそれにしなくても…と思ったし、最後の曲以外はまともな歌詞がないメロディかセリフの反復、高笑いばかりで勿体ない…いやあの静かな表現ができるのもきいちゃんだからだとは思いますが!ルイがfffだから謎の女がpppでバランス取ってるんでしょ?たぶん。うーーん、最後に受け入れられた運命が白いお衣装になって大団円で「運命」が完成する、あなたと歌えば歓びの歌!って流れは、流れ自体は良かったと思うんだけど…。ルイの不幸と苦悩が繰り返し描かれる演出もちょっと冗長だなと感じたし、ナポレオンとの精神世界もやりたいことはわかるけど唐突だなと思ったし…なんか色々とよくわからない状態のまま演出のセンスの良さとだいきほの歌唱力で納得させられそうになったけどやっぱりわからん、という気持ち。ウエクミ先生に教養を試されているのかもしれないし、回数を重ねるほど解釈が深まって楽しい作品なのかもしれないけど、私は一度しか観られないしなー。考察できる作品は好きだけど、「難しいことを抜きにしても面白い」が前提にあるべきではないかと思うんですよね。今回のfffは私は「難しいけど面白いな」より「わからないな」が先にきてしまった。

で、これらの個人的な不満について考えていた時に「レビューだったら超傑作だと感じただろうな…」と思ったのでした。BADDYのような、過去にない作品になったと思う。ナポレオンの章、ゲーテの章、ウェルテルとルイの失恋、各章に見え隠れする謎の女…みたいな。「解釈を深めればより面白さを感じられるし、そんなことを一切抜きにしても目と耳で楽しめる」ってショーにはぴったりだと思う。黄色い衣装の音楽擬人化っぽい群舞とかもショーの方がハマる気がするんだよなあ…。いやほんと勝手な妄想ですみません。

シルクロード〜盗賊と宝石〜

楽しかった!!!宝石きいちゃんを追う盗賊だいもん、この設定の時点で満点〜!!!目に楽しい場面がいっぱいで、お衣装が素敵で、きいちゃんのいろんなタイプの歌が聴けて、退団者に見せ場があって、満足でした!あと主題歌が良い〜!!!!菅野よう子さま!!!幻想的かつ耳に残る。

特に好みだったのは中国マフィア(きいちゃんラップみたいなテンポでも歌えるのか〜)こういうの定期的に見るけどいつも好き!!ってなる。あと次期コンビのお披露目のような遊牧民?ぽい場面、あーさのハーレムもとい千夜一夜(サヨナラでも殴る蹴るされるトップさま…)神様がぞろぞろ出てくる中でロケットがあるインドも面白かったな。舞台上の人数が減っているしああいうロケット良いですよね。レビューとして好きだったけど、先述した「fffをレビューにしたら良かったのに」と考えた時に「シルクロードを芝居にもできそうだなあ、観てみたいな」とも思ったのでした。結構しっかりストーリーがあって章だてになっていたので合いそう。それぞれのキャラクターの台詞を聞いてみたくもなった。

青い薔薇を繋いでいく群舞からのラストは涙なしには観られなかったな…。退団者含めたこのメンバーの雪組はもう観られないんだなあ、という。はあ。だいきほコンビに出会えて良かった。のぞみさんの誠実な役作りが大好きだった。歌うまなトップさんは多くいらっしゃるけど、ここまで歌に感情を乗せてお芝居ができる方が2人揃ってコンビになることはそうそう無いのでは、と思っている。私はもう2人のデュエットを聴くだけで泣く身体になっているよ…。「あなたと歌えば歓びの歌」ぴったりな歌詞をありがとうウエクミ先生。リアルタイムで観劇できたことが幸せなコンビでした。これからのお二人のご活躍をお祈りしています。 

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