予告編から絶対見たい!と思っていた「アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング」公開翌日に見てきたので感想。
めっっちゃくちゃ良かった!今年の映画納めにふさわしいハッピーな作品だった。容姿にコンプレックスを持つ主人公が頭を強打して自分が絶世の美女に見えるようになる…というあらすじから想定していた通りのストーリーだったけど、意外な展開もあり、脚本と役者がとても良くてけらけら笑ったりじんわり感動したりしながら楽しく見られた。
「平凡な一般人と秀でた能力者の入れ替わり物」はかなり王道だけど、「入れ替わらない入れ替わり物」なのが本作。主人公のレネーはフィールサイクル中に転倒して頭を打ち、自分をモデル級の美女に錯覚するようになる。あくまで錯覚であり、レネー以外から見ると何も変わっていないのがミソ。本人はずっと「一生に一度でいいから美人になってみたい」と思い続けていたので、美女になったと思った瞬間から行動が一変する。美女しか採用されないコスメ会社の受付嬢の募集に応募したり、男性を逆ナンしたり、自信満々の発言を繰り返す。
ぽっちゃり系のレネーの「美女しぐさ」は、周囲からすると戸惑うこともあるわけだけど(「好きな物をいくら食べてもこの体型なのよ!最高じゃない!?」と言いながらドカ食いしてるのとか、めっちゃ面白かった)レネーのウルトラポジティブな言動に周囲は概ね好意的な反応をする。レネー自身はそれを「外見が美しくなったから周りの対応が変化した」と思っているのだけど、実際は「レネーの自信とポジティブな発言が周囲の好感度を上げている」わけです。この「考え方ひとつで行動が変わり、他人に与える印象も変わる」ことの見せ方が上手。あらすじを見た時にてっきり「レネーの脳内の自分役として美人女優が登場するんだろうな」と思っていたのだけど(鏡の中には美女が映っているとか)この映画のレネー役はひとりだけ。本当に最初から最後までエイミー・シューマーがレネーを演じていて、容姿コンプレックスまみれなレネーも、自分を美女だと信じるレネーも、その後の変化も見事に演じている。同じ容姿の人間がここまで変わるんだ!というのがすごくわかりやすくて面白い。ビキニコンテストの場面は脚本なしにエイミーが好きに演じた結果があれらしい。すごい。
ただ、過剰な自信が全て良い方向に表面化するわけではないし、そもそも強度の容姿コンプレックスを持つレネーは「美人にさえなれば全てが解決する」「美人は別の人種」と思っている節があり、普通にルッキズムにつながる問題思考の持ち主である。そんな彼女がどういう経緯で本来の自分にも自信を持てるようになるのか、魔法はどのような結果をもたらすのか…という脚本のひとひねりが良かった。
レネー以外の登場人物もみな魅力的で、レネーに惹かれるイーサンや、きちんと問題を伝えてくれる親友たち、彼女をフラットに評価し抜擢するCEOルクレア姉弟、みんな素敵な人たちだった。ルクレア社の「おしゃれだけど浮世離れしてる」感じも斬新で面白かったな。みんなたしかにおしゃれなんだけど常人に理解しがたいセンスというか。笑
レネーの身に起きた「魔法」は「自分が美女に見える」ということだけ。実際、元からかなりおしゃれで(出てくる服がどれもめちゃくちゃ可愛い)美容についても研究熱心だし、頭も良いし、気が遣えるとても良い子だけど、それを活かす場所がないし、アピールもしてこなかった。(それが勘違いであっても)自分に自信を持つだけで本来の能力を発揮できて周囲に評価もされる。これは現実にもたくさんあることだと思うし、ラストの新作発表会の「容姿なんて関係なく、あなたは魅力的」というストレートなメッセージは心に響く。リアル美女にも当然ながら悩みがある、という側面も描いていて、「全女性に対してのエール」になっているのも素敵。私もものすごくコンプレックスがあるわけではないけど、「自分は完璧」とは思えていないのは事実。ほとんどの女性はそうだと思う。自分の行動、考え方ひとつで周囲からの見られ方も人生も変わる、それは今この瞬間から変えられることだよ、という優しく勇気を与えてくれる映画だった。
個人的な意見だけど映画見ながらgleeのいろんな場面が浮かんできて見返したくなった。あなたはあなたのままで美しい、と言い続けてくれるgleeが大好きなひと、アイフィールプリティもぜひ見て欲しいなー。アイフィールプリティ!めっっっちゃ良かった!glee好きな人全員見てほしい pic.twitter.com/4dsUgMxTZa
— 桜花 (@oukakreuz) 2018年12月29日