8月に見たもの、読んだものの感想メモです。
映画
ラストマイル
私のフォロイー鑑賞率90%くらいの本作。私もネタバレを踏む前に…と公開翌週に見に行きました。感想にネタバレ含むので嫌な人はスキップしてね。
(ワンクッション)
おもしろかった!野木さんは社会の話と個人の話を良い配分でエンタメにするのが上手いなあ。舞台となる外資巨大ECサイト(まんまAmazon)を利用したことのない日本人はほぼいないだろうし、その段ボールが手元に届いたらよく確認せずに開けてしまうだろうし、そこに無作為に何か仕掛けられていたら…というのは身近で想像しやすい。そして配達員不足や買い叩きについてもずっと問題になっているし、わりとどんな人が見ても構造の問題が理解できる作品になっているところがまずすごいと思う。(アンナチュラル・MIU404はお仕事ジャンルとしてはかなり専門的な内容なので、そういう意味でもぐっと身近だなあと感じる)
下請け・孫請けの配送業者だけでなく、そこに圧をかけている大企業の社員もまた本国の社員に圧をかけられていて、もっといえば最上流にいるはずの本国社員も常に成果に追われていて…という、全員がシステムの被害者である構図。人間が快適に生きるためのシステムのはずがいつの間にか飲み込まれて歯車を回すためにいろいろなものを失っている、グローバル資本主義社会の縮図!12ヶ条や株価命なところなど外資あるあるもリアルで面白かった。ミステリ部分も結構わかりやすく、エレナが犯人?というミスリードも拗すぎなくてよかった。ただ個人的には全体の問題を描く/立場ごとの視点を切り取るための尺が多くて、人間の内面の動きの描写があまりなかったのがちょっと残念だったな。満島ひかりのエレナと岡田将生の孔、どちらもすごーーーく良い演技をしていたのに、そんなに男女バディ物にはなっていなかったような。この4日間が孔の、ひいてはセンターの未来に影響を与えるかも…という最後の仄めかしはあったけど、エレナ側は人物像が完成されていて、孔と出会ったことで何か変わった感じがしないのが惜しかった。このあたりネトフリで5話ドラマとかにしていたらもっと過去エピソードとか掘れて面白くなっていたのでは〜と思う。
逆に話の本筋とは一見関係なさそうなシングルマザー家庭が丁寧に描写されていたことはすごく良くて、ともすれば加害者に肩入れしてしまいそうになるストーリーを「いや無差別テロの犠牲になるのはこういう何の落ち度もない一般人なんだ」と引き戻してくれた。「すべては顧客のために」がただの綺麗事だけじゃない、とも思えたしね。
主役2人はもちろんのこと、板挟みになる下請け業者の管理職・阿部サダヲが最高に良かった。こういう役を演じるとピカイチですわね。あとサプライズの中村倫也!社員証に写真が出てきた時がピークに興奮した。おディーンの外資の上司にいそう感すごかったしエレナの服やアクセが超可愛くて物欲湧いてしまった。そしてやっぱり主題歌が最高。映画を見る前に聞いて「へーがらくたって主人公2人の歌なんかな?」と思っていたら…!ですよ。 いつもいつも米津玄師が一番良い解釈出してくるんよな〜。
それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン
人生で最初で最後かもしれない、アンパンマン映画を家族で映画館で見てきた!
今年はばいきんまんが主役ポジで、絵本の世界に飛ばされてしまったばいきんまんがその世界で暴れる「すいとるゾウ」を倒すべく奮闘する話。ゲストキャラは絵本の世界のルルン(CV:上戸彩)。1時間の枠で上手くお話が構成されているなあ、子どもを飽きさせない工夫がすごいなあと感心した。というかばいきんまんが思っていた100倍地道に頑張る話で(木を削ったり古いシャンデリアを溶かして鋳型を作るところから始めるのだ)あれを見ていた親御さんたちはみんな「我が子にもばいきんまんのように粘り強く工夫できる子になってほしい」と思ったことでしょう…。
ばいきんまんやルルン、アンパンマンと仲間たちがすいとるゾウと戦うシーンがとにかく多く、どんだけピンチになるねん、ルルン追い詰められすぎだろとなるが幼児にはあれくらい重ねたほうがわかりやすいのであろう。個人的に「すいとるゾウが現実世界でばいきんまんの作ったロボだった」という設定はもっと前半に伏線張るとか、自分のハードルは自分自身だね的に回収できたのではー!?と惜しかったです。(つい真剣にレビューしてしまった)
あと作品と関係ないのですが映画が始まる前に普通に30分CMがあって、おいおい幼児向けにそれはないだろと思いましたね…2-3歳が30分座っていることの難易度わかってる??今度からもっとギリギリに入ろうと思う。
ドラマ
西園寺さんは家事をしない
友人たちが面白いよ!と勧めてくれたので一気見。おもしろい!!こういうカラッとした恋愛ドラマを求めていたんよ私は!!
「バリキャリ女性と年下のシングルファザーが偽家族になる」というあらすじから「あーはいはい契約結婚モノは見飽きました」と勝手に心のシャッターを下ろしていたのですが、思いの外この「偽家族」がしっかりと描かれていて。そもそもこの偽家族は独身のヒロイン西園寺さん側には特にメリットがなく、合理的な判断のための同居ではないというのが非常に良い。西園寺さんはただただ人情に溢れた人で、人助けで同居を申し出て、でも一緒に暮らすうちに「人と暮らすって、いいな」という気持ちになっていく過程がとても自然。そうだよね、家族って別にメリットがあるからなるものじゃないよねえ…と改めて思える。西園寺さんの彼氏・ぐるぐるさんとシングルファザーの亡くなった妻がすごく魅力的なキャラクターなのも良い〜。
ドラマ全体がすごく明るくてカラッとした空気があって、ひうらさとる作品のパワー!!を感じる。話は全然違うんだけど、ホタルノヒカリを令和にアップデートしたらこうなったんだなーって感じ。そしてキャストが超良い!!!西園寺さんの松本若菜かわいすぎる素敵すぎる、40代なんて信じらない。シングルファザー役の松村北斗もめちゃくちゃ良い!!!普通に演技に泣かされてる!!!あと娘ルカちゃん役の倉田瑛茉ちゃんが天才!!大人にまとまりすぎてない、4歳ってこうだよね!という気まぐれな演技がめっちゃ自然。あと野呂佳代さんは常に理想の友達役だな〜!
スタイリング可愛いしおうちもおしゃれだしアプリ開発現場のお仕事物としても面白いので(あの会社の採用力が謎すぎて藤井隆社長の人脈が気になる)疲れてる人みんな見てください。
虎に翼
私はびっくりするほど心が離れてしまい、ここにきて完走できるか怪しくなってまいりました…。あ、あんなに楽しんでいたのに…悲しい…。最近合わないなあ…と思った要因はいくつかあり。
1.航一さんは岡田将生だから好きだが、寅子との恋愛に全く萌えなかった。
本当に萌えなかった。そもそも航一さんは岡田将生だということ以外の魅力を見つけられず、寅子が理性を失った恋愛をしていると主張すればするほど「そうか?」と思ってしまった。打算的に結婚した優三さんの時と比較して航一さんとは恋だ、と言いたいのだろうけど、特にどこに惹かれたのかわからない…。そしてどう見ても優三さんの方が寅子の人生に良い影響を与えていると思う…。
2.社会問題の入れ方がわざとらしい、くどい
前半はそれが面白かったのだけど、毎日毎日現代にも通じる社会問題を取り上げて話に入れているのが説教くさく感じている。これはセリフがわざとらしい、というのもあるし、落とし所が微妙に感じる(それらが現代でまだ未解決であるから仕方ないのだけど)というのもある。航一と寅子の結婚で法学部のみんなが集うのなんて、予告で見た時はかなり胸熱!!と思ったはずなのに、あの人前式のわざとらしさにかなり萎えてしまった。身内で納得して事実婚にしたから良いってもんでもないし…みたいな…。いい歳した寅子の「はて?」と無神経さもそろそろうざい。もう社会に対する「はて?」は隣にいる優未に譲っても良いのでは〜と同性婚のところでは思ったな。
3.星家の話がどうでもいい
本当にどうでもいい〜。なぜ成人した連れ子と同居したんだ〜?!でしかないし、星家の問題は航一さんがどうにかしてくれ〜寅子は無神経すぎ、優未は都合の良い娘すぎ〜。(新潟編では優未とぎくしゃくしつつも仲を深めているのがよかったけど、東京に戻って急激にイマジナリー娘になっていると感じる)「他人を家族として受け入れること」については道男のターンで良い描き方をしていたし、主婦の人権については花江ちゃんでやったじゃない。今更そんな遅れた反抗期の子たちの話どうでもいいよ〜。いい歳した息子への「かっこいいわ」もイラっとしたよ〜。
直明のお嫁さんといい、新キャラが全体的に好きになれないのもあるな…。うううん本当に前半面白くて大好きなので最後まで見届けたい…。
小説
没落令嬢のためのレディ入門
ヒストリカルロマンス初心者におすすめというポストを見て読んでみた。翻訳が読みやすくて、ストーリーもシンプルに賢いヒロインが実直に戦略的に攻めていく話で面白かった!華やかだし映像化しそう。というか完全にブリジャートンのイメージで脳内再生していました。あとこれはネタバレになるので伏せますが、主人公の生い立ちに関する秘密がこれまでなろう系も含めてあらゆる小説で読んだことがない類のもので(貧乏・学がない・親に虐待されてた…とかはあっても、ヒロインの清純さみたいなものは担保されているのが大前提だと思っていた)それもかなり新しいな?!と感心した。
あとかた
少しずつ話の繋がった連作短編集。千早さんのこういう怖くはないんだけどほんのり死の香りがする小説が好き。前半は息苦しい感じで好きだったけど、後半はストーリーがありきたりな感じになってしまってあまり印象に残らず。でも文章が上手いのでずしんと残る一節が急に出てきたりする。
漫画
後ハッピーマニア5
やったれフクちゃん!ぶちのめせ!!出てくるキャラクターの濃さもアラフィフの恋愛も冷静になると別にリアルじゃないんだろうけどディテールの細かさでなんかリアリティがすごいモヨコマジック!
ゴーストアンドレディ
四季のミュージカルを観劇予定なので予習で読んだ。どんな舞台になるのか楽しみ!感想は舞台観てから書きます。
雑誌
Hanako 理想のキッチンとインテリア
&Premium 小さな家に暮らす。
変わらずインテリア系の特集を見つけたら読んでしまう。Hanakoの方がツールとかこれ買いたいな〜と思うものの紹介があって自分的によかった。プレミアムの方は一軒家とかも含めた「小さな家」で人生のフェーズも様々な人の暮らしが覗けるのがよい。あと巻末の台北案内がまさに今一番気になっている南門市場周辺エリアなのが!他の雑誌やSNSでも取り上げているのをあまり見ないのでまとまっていてアツかった。さすが片倉さん。
momo 図鑑特集
図書館で見つけた雑誌が面白くて大当たり。いろんなジャンルの図鑑が載っていて、これから娘が興味を持ったらあれもこれも見せてみたいなあと夢が広がる特集でした。他の号も面白そうなのでバックナンバーも読んでみる。
今月は映画やドラマの感想を友達と話す機会が結構あって、人の意見を聞くのは面白し自分も肉声で話したりすることで思考がまとまるな〜と実感した。わいわい感想を話せるというのもタイムリーな作品を見る楽しさだな〜。
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