ディズニーマジックより強い姉妹愛 劇団四季 アナと雪の女王

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劇団四季の「アナと雪の女王」を観劇したので感想。

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ちなみにBW版は未見なので舞台版自体を観るのが初めて。映画はもちろん何十回も見ています。

映画→舞台化について

私はミュージカル女優のIdina(エルサ役声優)が大大大好きでアナ雪映画も舞台モード脳で見ていたので、BWで舞台化のニュースを聞いた時も全く意外性がないというか、むしろ「こんなに舞台っぽい映画を舞台化して何か新しい要素を足せるのだろうか」と思っていました。(舞浜では未開催だけど)世界中のディズニーパークではプロジェクションマッピングを駆使したクオリティの高いFROZENのシングアロングショーを無料でやっていたし。ファンが多いからチケットは売れるだろうけど、大人の舞台ファンが満足する作品を作るのは難しいんじゃないかなあと。で、観劇後の正直な感想としては「想像通り、演出上の目新しさはあまり無い。しかし脚本のブラッシュアップと役者の表現力でテーマパークショーとは全く違う、質の高い舞台に仕上がっている。」と感じました。

怒涛の舞台オリジナル曲たち

他のディズニーミュージカルと比べて驚いたのが舞台用の新曲の多さ。せいぜい1-2曲増えるくらいかと思ったらなんと追加12曲!そもそも映画を制作する際に相当カットしていたっぽいし、「全然尺が足りていない!」「なんでクリストフにもっと歌わせないの!ジョナサンの無駄遣い!絶対アナとデュエット入れるべきでしょ!」と思っていたので2幕物舞台になってやっと完全版になったという感じもする。

好きな曲について少し。「二人から少しずつ」はオラフの誕生にまつわる曲で、演出には短編「家族の思い出」の要素も入っていて映画ファンには嬉しい。ベッドサイドの箱やペンギンのぬいぐるみが微笑ましい。「最初のヨイク」では姉妹の母の出自が語られて、思いっきり映画2の設定が織り込まれていることに驚き。トロール→隠れびとという設定変更も映画2を踏まえていると思うと納得。2幕の「モンスター」を1幕で幼エルサがリプライズを先に歌うという展開がとても好み!(映画ではトロールが未来の姿を見せてエルサが怖がっていたけど、エルサが自分で予知して怯えている、という方がたしかに良い)「生まれて初めて」は元々大好きな曲だけど、アナとエルサだけでなくハンスやクリストフ、招待客も一緒にコーラスになる構成がすごく良い!これぞ舞台!

クリストフとのデュエット曲「愛の何がわかる」はハンスとの甘い「扉開けて」と対比した位置づけ。現実的な歌詞も過酷な雪山というロケーションや登山用ファッションもロマンチックさが無いのが良い。扉開けての舞台セットはめっっっちゃ好みでしたが〜!!「サザンアイルズのハンス」は国民を鼓舞するリプライズの方が好み。普通に人格者で良い王子なのでどうやって裏切るの…?という気持ちになる。

「危険な夢」では戴冠式への不安と無事に終えた安堵、アナへの気持ちが語られていて、映画では「生まれてはじめて」の中で少し触れられていたエルサの不安をクローズアップしてくれている。これと「モンスター」の2曲があることでエルサの内面描写が深まり、「ありのままで」がただの家出ソングではなく(笑)アナへの愛から身を隠したのだとわかる流れになっている。というか「ありのままで」はイントロが始まった瞬間から劇場中が「くるぞ…レリゴーくるぞ…!」という空気でひとつになっていて、観ている方が緊張で吐きそうになったわ。

「ヒュッゲ」は色々な意味でこんな曲だと想像していなかったw2幕最初だし、BWでは相当盛り上がるだろうな。ああいうラインダンスはディズニーミュージカルあるあるですね。オーケンは出番は少ないけど非常に美味しい役だな…。「あなたを失いたくない」はBW版CDを聴いていたので「生まれて初めてのリプライズは!?!?」と混乱してしまった新曲。あのリプライズめちゃくちゃ好きなので舞台版にあることを喜んでいたのにまさか四季でカットされるなんて…。でも「あなたを〜」の方がエルサアナの両片思い感が出るのはわかる…うう…。「クリストフ・ララバイ」はぜひいつかジョナサンにも歌わせてあげて…。しかしこんなヒーローソングをもらってもやはり姉妹の当て馬に見えてしまうのはなぜ。イケメンなのに。

「家族愛」を深めた脚本

エルサの内面を掘り下げた新曲と脚本で作品テーマがかなり分かりやすく「家族愛」という原点に立ち返っているように感じた。アナ雪シリーズって直近の映画2でエルサの解放(自分探し)やアナの自立という新たなテーマ、別離を選ぶ新展開もあったので、ここにきてアナ雪=愛の物語だということを思い出したというか。

公開当時はアナ雪の「"真実の愛"は王子様とお姫様の運命の恋だけじゃない、姉妹愛でもいいんだ!」という部分がとても新しくて話題になっていたけど、この10年でそれは目新しいことでは無くなっている。さらにおそらく観客の90%くらいは映画も、なんなら映画2の展開も知っている状況で脚本をどう練り直すのかなーと思っていたのだけど。両親がエルサを愛し心配したが故の対応、エルサのアナへの愛、それがアナの心の隙間を作ってしまったこと。戴冠式で心から楽しそうにしている二人とその後のすれ違い。家族間の愛をこれでもかと丁寧に描写してくれたおかげで、そういうことが全てすっと入ってきて、映画を見た時よりもっと深く「エルサもアナも悪くないよ〜!辛い環境で育ったのにお互い真っ直ぐに愛し合っていてなんて尊い姉妹なんだ…」と思いましたよ…アナエル尊いよ…。映画は後から短編や2があったので仲良しイメージが強化されてるけど、1の映画だけだとあそこまでお互いを思い合ってる!って印象が無かった気がするのだよね。脳内補完していたけど。

あとエルサに映画にはないパンツ衣装があるのがとても新鮮だった!雪の女王がパンツスタイルなのは映画2の影響や時代があると思うな。

劇団四季の「アナと雪の女王」

四季の会を退会して●年、ものすごーーく久しぶりの四季観劇だったのだけど、まず生オケだったことに大感動。やっぱりミュージカルは生オケだよー!チューニングからテンションが上がる。アナ雪が生オケなのは開幕直後だからなのか契約上のことなのかわからないけど、なるべく長くオケがあるといいなあ…。

今回見たキャストが本当〜〜によかったです!!!

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岡本エルサの長女感!責任感があってプレッシャーから張り詰めてるけど、戴冠式後にアナと楽しそうに笑ってたり婚約を知らされた時に小さくパニックになっているところとか、エルサ解釈がぴったり!そして三平アナがもうアニメから飛び出てきたのでは?というくらいアナそのもので。くるくる回る表情、可愛すぎる笑顔、でも寂しい幼少期から愛に飢えていて陰が見え隠れしていたり、真っ直ぐだけどコミュ障な部分があったり…いやもうアナそのものすぎて。そして舞台のアナは想像以上に歌だけでなくダンス役者!橋から逆さ吊りになったりアクロバティックな動きが多くてびっくりした。いやー本当に可愛かったなああ。もう岡本エルサと三平アナが完璧に姉妹解釈が一致していたのでどの場面の絡みも最高でした。

神永クリストフはセクシーすぎてびっくり。山男があんなにセクシーで良いのか??でも朴訥とした誠実さがあってよかった。かくれびとが全体的に色気大爆発していたのでクリストフもそのように育ったのですかね。杉浦ハンスはキラキラで育ちが良さそう。普通にアナと良いカップルになれそうだったので裏切りのシーンではむしろ正直に告白して良い奴だな…と思った。そもそも脚本的にも敢えてヴィランを作らないようにしているというか、ハンスの退場をあっさりしているなと思う。

オラフとスヴェンはディズニーミュージカルらしさ爆発していてよかった。オラフは男性役者で観たけど女性役者verもあるそうで、あの役を性別固定しないのはすごく良いなあと思った。あとオーケンとウェーゼルトンの役者ぶりが最高でした。

…ということで、四季なので歌を安心して聴けるのは前提として、役者のキャラクター解釈がとにかく良かったのが一番楽しめたポイントかもしれない。新曲はよかったけどやっぱり繰り返し聴いているのもあって映画の曲の方が耳に残るし愛着はある、演出は正直もっと「ここでこんな見せ方をするとは!」と驚かされたかった。(ディズニーマジックという点ではメリポピの方がよかったし、演出の斬新さではやはりLKやアイーダを上回ってはない…ディズニーミュージカルはどうしても過去作と比較してしまいますね)でも舞台で観たいなあと思っていた映画を綺麗に舞台化してくれて、脚本のおかげで各キャラクターへの解像度が上がったのが嬉しい。そして生オケで観られてよかった!(何度でもいうよ)

 

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