念願のSIX来日公演!そしてまさかの日本版上演!喜び勇んで観てきたので感想です。


まずEXシアター六本木での上演が発表された時、"6"本木の"ex"シアターってあまりにもできすぎてない!?と感動した。実は初めて入ったんですが見やすいし音も良く、ライブ形式の作品に合っていた。今回の人気ぶりだといずれ会場が変わるような気もするけど、できればこの規模感でやってほしいなあ。(再演があること前提の発言)
来日はもちろん日本版も超良かった!
SIXはライブ版のアルバムが大好きで何百回も聴いていて、youtubeでもいろんなパフォーマンスを見ていたのだけど、全編通して見るのは初めてでした。なので思っていたより舞台<ライブ作品としての印象が強くて驚いたり、演出を知ったことでより好きになるクイーンがいたり。今回一番嬉しかった誤算は日本語訳詞の素晴らしさ。正直ね、あまり期待はしていなかったんですよ。ただでさえ歴史的・文化的な背景を知らないと理解が難しい歌詞が多く、そのニュアンスを拾いながらポップス曲として耳障りが悪くない音割りにするなんて不可能でしょ?と、先んじて韓国版が上演された時にも思ってた。SIXを英語圏以外でやるなんて無理じゃないかなあと。それが日本版訳もキャストも客席のノリもチケットの売れ行きも思ってた数百倍よくて感動した〜!!!ありがとうありがとう。
客席のノリとSNSの盛り上がりにはかなりびっくりした。フィルターバブルもあるとは思うけど普段ミュージカルを観に行く人や役者のファン(今回の場合はハロプロのファンかな)以外で、フェミニズム文脈への興味で足を運んでいる人をSNSでたくさん見かけた。すごくすごく嬉しいし良いことだなあと思う。芝居はあるけどほぼライブで盛り上がる曲ばかりで、客席もノリやすいし、シリアスな台詞と面白さのバランスも良いし、本当にいろんな人にお勧めしたくなる作品。ついでに衣装やセットの少なさも含め、かなりツアー向きの作品だなと思うので定期的な来日もお願いしたい…。日本版はリピートしたくなったけどチケットが全然取れなかったので次は最初から頑張ろうと思います。(再演があること前提の発言2回目)
ちなみにこれはみんなに見てほしいんですけど、SIX関連の動画で私が一番好きなものです。
ロンドン塔の前でフラッシュモブをするクイーンたち、熱狂するクイーンダムたち!歴史上の彼女たちとロンドン塔の関係を考えるとここでパフォーマンスって供養みたいな意味もあるというか、このパワーと愛に泣いちゃう。
キャスト


左が来日版、右が日本版で観た時のキャスト。日本キャストはソニン、エリアンナ、和希そらをメインに組みましたが全員超よかったし本当は12人全員見たかったよーー!しかし映像を見る限り、誰がどう当たっても楽しめると安心できるキャスティング最高でしたね。
カテコのカメラOKは最近はそこまで珍しくないけど、ここまで広く拡散されていたのは驚いた。やはり元アイドル枠キャストが多かったからなのか、通常のミュージカルショーとはちょっと違う盛り上がり方をしていた気がする。(しかしチッケム目当てで前方に入ったんだろうなと思われる方々も皆さん作品自体にハマっている様子だったのがまた嬉しい)
各曲の感想メモ
語りたいことメモしてたの残しておく!
Ex-Wives
・「グリーンスリーブスくれたしね」元ネタはこの動画がわかりやすかった
・シーモアのパート"Stick around and you'll Suddenly see more"はsee moreとシーモアをかけつつ、リトルショップ・ホラーズの"suddenly seymour"のパロディでもあるよね!?SIXでもトランプ一家〜と歌っていたし担当曲もドラマ感強めだし、シーモアはミュージカル好きキャラなんだろうか。
・クレーヴス→ハワードの歌い繋ぐところ、今回の和訳で一番感動したポイントかもしれない。原曲だとクレーヴスが"Funny how we all discuss that But never Henry's little—"(みんな話題に出さない、ヘンリーのちっちゃい●●)と歌うところにハワードが”Prick up your ears, I'm the Katherine Who lost her head”(よく聞いて!私は首切られたキャサリンよ)と下ネタワードをかき消すように自己紹介を重ねているパート。(Prickが下ネタである)これを日本語歌詞ではクレーヴス「それよりどうよ、ヘンリーのちっちゃいあそ(こ)…」にハワードが「遊んでて首切られたキャサリンよ!」と被せている。「あそこ」と「遊んでて」でちゃんと韻を踏んでいる!!!意味はそのまま通しながら音が重なっているの、天才では!?ここ聞いた時にまじで感動した!!!
No Way
・ソニンの「いいわー」のニュアンスの変え方がすっごく面白かったんだけど、キャストによってこの言葉が違うとパンフに書いてあったのでめっちゃ気になる。ソニンはめちゃくちゃアラゴンに合っていた!パワフルでコミカルでクイーンたちのボスって感じ。あなたに辛い思いをさせていたなら修道院に行くわ…🥲うるうる→…え?ない??じゃあありえないんですけど?💢の流れとかがとてもソニン。
・「ありりりりえない♪」最初聞いた時笑ったけど癖になる。
・原曲でsh- shhとなるところ、「我慢してた私」「あなたうるさいし」とちゃんとshで終わって綺麗に音がはまっていたのも和訳感動ポイント。
・娘は産んでいるのに無かったことにされる。ここは字幕の方がぐさっときたな。家父長制がマジで最悪ということをさらっとワンフレーズに入れられてましたね。(話はずれるけど、女性にも王位継承権はあるのに男児にめちゃくちゃこだわっていた…というのに加えて、愛人が産んだ息子はいたというのを見ると、側室が産んでも王位継承権が与えられないという部分だけ潔癖なのはなんか面白いなと思う。カトリックから抜ける際にそのルールも変えてしまえばよかったのに…そんな簡単な話ではないのか?側室に産んでもらってOKにしておけば処刑されることはなかっただろうに…と思ってしまう。大奥のあった国の人間なので。。)
The One You've Been Waiting For
・この曲、音源でしか聞いたことなくてどういうシーンなのか分かってなかったのでアンの前座だったのねと分かってすっきり。
・Who was that other one? 6人いるのに”Other one”なのは映画「ブーリン家の姉妹(原題がThe Other Boleyn Girl)」からだと思われる。
Don't Lose Ur Head
・SIXのアン・ブーリンちゃん大好き!!この悪気ない(悪気はある)小悪魔キャラ、現実にいたら腹立つけど創作特にミュージカルで見るとメロメロになっちゃうんだよな。RENTのモーリーンとか。
・スラングが多いので日本語歌詞も一番オリジナリティあったと思う。「悪かったわ悪気なくて、楽しけりゃいいじゃん♪」も癖になるフレーズだな〜。"Like, What was I meant to do?"→「じゃあどうすりゃいいのよ?」もシンプルで上手いと思った。
・「ちょっとーアン炎上してるよー」と世間の声代弁する他のクイーンたちが女子っぽくてかわいい。
Heart of Stone
・ライブ版のアルバムだとラストにクイーン全員で歌っているverが収録されていて、舞台を観る前にかなり印象的だった曲。ザ・ミュージカルという感じのバラードで好き。
Haus of Holbein
・これは舞台映像を全く見たことがなかったから、演出が新鮮に感じられた。Tinderのように左右にスワイプされるのとか、クイーンたちがわちゃわちゃしているところが可愛いし面白い。
・ホルバインって画材の名前になってるホルベインか!!と繋がってアハ体験。ハウスミュージックで盛り上がる〜。これ、一番ミュージカルっぽくない曲だと思う。
Get Down
・アン・オブ・クレーヴス!!!!あんたがクイーンよ!!!!!!エリアンナさま最高ーーーー!!!!
・「暇だからぁ、お城行こ」の言い方大好き。
・いやまじでお城と使いきれないお金だけもらって離婚するのは一番の勝ち組である。
All You Wanna Do
・他のクイーンのソロ曲に比べて、ハワードはコンサートなどでもあまり出てこない気がする。私は海外の動画でも見たことなくて、初めて演出まで見て衝撃だった。
・音源で聴いていた時もラストのAll you wanna doからの悲痛な叫びに涙が出ていたんだけど、他のクイーンたちの無数の手に身体を掴まれて振り払う演出は鳥肌がたった。1曲の中で一番演技している、ミュージカルらしい曲だと思う。
・ていうか冷静に考えて一番かわいそうなのはキャサリン・ハワードだなと思うよ、、だって13歳て。
・「自分の執務室に連れ込むために女を雇う男っているのねー、時代は変わったわ」「ここで私をのし上がらせてくれた権力者の男性の皆さんにお礼を言いたいと思います!」など、ハワードのセリフが一番皮肉が効いている。ぜんぜん、みんな、21世紀にもある話です!!!F××K!
I Don't Need Your Love
・ヘンリーに向けてもう愛さなくていいと歌うRemixの方をずっと聴いていたので、前半は恋人のトマス・シーモアへの歌詞だったということに初めて気づきました。なるほどー。漫画「セシルの女王」で推しているカップルだったのでこういう感じなのねと。
I Don't Need Your Love (Remix)
・リミックスから後はもうハッピーしかない!楽しい!大好き!!
・内心はどうあれ王の寵愛を得ること、息子を産むことが人生の命題で運命を狂わされてきた王妃たちが「あなたの愛はいらない、もうたくさん!あなたに振り回されたくない」と力強く歌い上げるのを見ると泣いてしまう。
Six〜The Megasix (Encore)
・ハッピーなifのSIX大好き〜もうずっと泣いてしまう〜!!もうこれが正史であれ〜!!!
・シーモアの「トランプ一家」が日本語訳だと「チューダー・ストリーズ・ボーイズ」になっている!!サウンドオブミュージックよりバックストリートボーイズの方が認知度が高いのか!?そうなのか!?
・クレーヴスの「クイーンの見た目、別に要らない」もなぜかめっちゃ泣いてしまう。SIXという作品の中のアンは全然気にしてなさそうでつよつよで最高なんだけど、やっぱり現代でも多くの女性が容姿を勝手にジャッジされて傷ついたり腹立ったりしているからさ…。Haus of Holbeinもそこを痛烈に皮肉っている曲だと思いますが。
・ハワードの「ウザい先生要らないでしょ」ももちろん爆泣き。彼女が13歳の時に、そう思えるような環境だったらよかった…時代が違うとはいえ。いや時代が違うといいながら現在でも全然ある犯罪なんだよな。犯罪となっていない国や地域もある…。どんより。
・ラスト5分カウントの歌詞が日本語でもしっかり数字になっているのがさすがです。
"One" of a kind No category
"Too(Two)” many years Lost in history
We're "free(Three)"to take Our crowning glory
"For(Four)"" five" more minutes
↓
たったひと(1)つ他にはない
逃(2)げずに立ち上がる時
参(3)加してと呼ん(4)でる声
あと5分だけ そうSIX
特に「参加してと呼んでる声」がアツい。というかたったひとつ〜以外は意味的にはかなり外した訳なんだけどカウントダウンがハマっているのと音にも合っているしすごく良い〜!
ラスト、クイーンズたちが自撮りするところ大大大好きなのだ…本当にキュート。かわいい。最高。
ピンバッチは悩みつつフレーズが好きなキャサリン・パーにした。これブラインドなのかなと思いきやちゃんと選べて親切だな!と思いました。
あ〜〜楽しかったな〜〜!!!次は絶対にシングアロング回にも参加したいしできれば1階の良い席で踊り狂いたい!!来日も日本版も再演ありますようにー!!!