スリルミー2020 新納×田代ペア

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2020年のスリルミーが開幕し、そして予想しない形で終わってしまった…。緊急事態宣言が出るかも、というニュースを見ながらの入場だったので舞台からも客席からも「これが千秋楽かもしれない」という覚悟を感じました。案の定、終演後に翌日からの公演中止のお知らせが。お二人は幕が開く直前に聞かされていたそうですね。うう…。しかし滑り込みで行けて良かったです。なんといっても念願のにろまりペア。

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私がスリルミーという作品に出会ったのは2012年のサンケイホールブリーゼのかきまつペア。そこからの再演4回、全ペア数えきれない回数を観ているにも関わらず元祖にろまりだけ観られていなかったのでした…。今回日本上演10周年で復活するということでやっとやっと観られたー!!うれしい!!!

※例によってここから先はネタバレがありますので、スリルミー未見の方は読まないでね!

にろまり、愛がある物語だった。スリルミーって愛というよりは依存、執着、もっといえば若さ故のイタさという印象があって、実際に起こった事件を題材にしていることの危うさからもこの2人の関係を肯定的には描かないようにしているのだろうと思っていた。それが今回は「(少なくともこの物語を語っている私の中では)愛の話だったのだな」と原点に帰ってきた感じ。「超人になりたかったけど凡人だった彼」「気弱で追従しているように見えて彼を操っていた私」という刷り込みがかなりある中で元祖にろまりペアを見て、すごくスッキリしてるというか、シンプルなものを見ている気持ちになった。

まりお私は2014年に伊礼彼と組んだいれまりペア時にも観ているので、この印象の違いは彼の役作りに依るところが大きいのかな。同じ脚本演出・同じ役を演じていても相手次第で全然違う作品になるのが2人芝居の面白さだなあ。(そして同じ回を観ていても人によって受け取り方が真逆だったりするのもスリルミーの面白さだと思う。)

にろ彼が他の彼たちと決定的に違うと感じたのは、追い詰められて取り乱しても見苦しくないところ。厨二病感がない!超人に近いというのもあるし、良い意味で人間味があるというか、人生の裏側が見えてくる彼だった。弟へのコンプレックスや苛立ちもやりすぎ感がなくて大人だったし、新聞をわしゃわしゃする時も拘置所での死にたくない!も99年の「まさかお前が…」でも、本当に全く見苦しくない彼を初めて見た気がする。インテリぶっていた彼が後半になるにつれてどんどん余裕をなくして小物になっていくのが見所でもあると思っていたけど(笑)にろ彼は声を裏返らせたり暴れたりするような大袈裟な演技がなくて、とてもシンプルに焦りと絶望が見えるのが良かった。「俺がなりたかったのはまさに彼のような弁護士だ」がすごくピュアな台詞に見えたし(あれいつも「こいつまたイキってなんか言ってら」と思っててごめん…)彼にも夢や将来があったけど、家庭環境などが原因で満たされない気持ちをスリルに置き換えてしまったのだろうな。

まりお私は無邪気!純粋!ラブ!!いれまりの時とのイメージの違いにびっくりした。育ちが良くて、周りに可愛がられて育ってきたお坊ちゃん。歪んでない。「彼もまた家族だ」「君の父親だってそうするだろ」が心の底からの本音なんだよなあ。これまで私の「君の父親だってそうするだろ」は彼が弟より愛されてないと思ってるのを承知の上でフォローしてるのかなと思ってたけど、まりお私は「親が息子を助けてくれるのは当たり前じゃないか!」って心から信じていそうというか…。だからにろ彼に壁を作られるんだよ…!まりお私は大好きなにろ彼に昔のように戻って欲しくて必死にもがいたら引き摺り下ろしてしまった感じがした。彼方彼との時はもっと狡猾というか、彼を完全に操ってて、爬虫類的な気持ち悪さを感じたけど(ほめてる!)にろ彼との組み合わせでは私なりに全力でぶつかっている感じがした。愛。「彼が刺されることがなければ今でも…」と目を細めるところ、普通に幸せそうで視線に愛が溢れていて、まりお私はずっとにろ彼のことが好きで、犯した罪に対する償いの意識はあっても選んだ道は後悔してないんだなと思った。

これまでで一番、ボタンを掛け違えている2人、どこかで違う道を選択できれば普通の人生が送れた2人だったんじゃないかと思う。なぜなら2人がちゃんと愛し合っていた過去が見えるから。(別のペアでは明確に「彼は私を愛してない」って言ってた役者さんもいたし、やはりそこはペアそれぞれの解釈の肝なんじゃないかなと思う)にろ彼がずっと何かを求めているのに満たされなくて、それがスリルに置き換えられてるのが伝わってくるのに、まりお私には全然見えていない。自分とは決定的に考え方が違う私ににろ彼は失望し、契約を持ちかける。私もまた変わってしまった彼を取り戻すために深みにはまっていく。私が彼の出していたいろんなSOSのサインに気付けてフォローしてあげられたら、ここまでの事件には発展しなかったのでは…。或いは、彼が私の眼鏡を一緒に探しに行こうとか、自首しようと持ちかけていたら、私は彼を助けるために動いたのでは…。そういうifが浮かんでくる2人だった。

 ただ「あくまでも私視点でしか語られない」というのがスリルミーの憎いところなので、にろ彼が最初から最後まで大人で超人なのも、私のことをとても愛しているように見えたのもまりお私の脳内補完である可能性も大いにある。それはそれで切ない。今回各ペアにテーマ文が割り振られているけど、にろまりは「究極の愛」なるほどなあ…。個人的に初めてこれは愛の話なのだ、と実感できたスリルミーでした。

 

掘り返してみたら前回(2018年)はそんふくペアしか感想書いてなかった。。

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私のスリル解釈基準はやっぱり一番回数を見ているかきまつペアなんだな〜と実感したのでまた見たい、けど2人ともすっかり売れっ子だし再結成はなかなか難しそうだね…。スリルは観てすぐ書かないと薄れてしまうので感想はツイッターメインです。ネタバレ避けるために昔から@つけてツイートしています。