映画「Wicked For Good(邦題:ウィキッド 永遠の約束)」感想・舞台との比較

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映画「Wicked For Good(邦題:ウィキッド 永遠の約束)」の日本公開が待ちきれず、韓国で公開2日目に見てきました!!初回は英語音声/韓国語字幕、2回目は韓国語吹替。

今回もネタバレに配慮せず感想を書き殴ろうと思いますので、日本公開まで読みたくない方はこの下は読まないでね!!!!!

ああ早くこの興奮を日本語で語り合いたいよおおお。早く日本公開してほしい。

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For Good:善き魔女への道

前編が抑圧され続けたエルファバが自らを解放し"悪い魔女"になる話だとすると、後編は何不自由なく人気者として生きてきたグリンダが己を正して真の"善き魔女"になる話だった。前後編どちらも舞台にはない過去エピソードを入れることで、二人がそれぞれの幼少期の呪いを解いて、在るべき自分を取り戻す話にもなっている。

そして前編から繰り返し意識的にセリフに用いられていたGoodという言葉=善い行い、善い人間とは何なのか?をストレートに考えさせる、なかなか手厳しい脚本だった。けっこう驚いたのが、グリンダの罪とそれによって与えられた罰を正面から描いていること。前編の学生時代のグリンダの狡さはそのチャーミングさでカバーされているように見えたけれど、後編は彼女の選択は「騙されて仕方がなく善い魔女役をしていた」のではなく、「オズが何をしているか理解した上で、打算によってオズとモリブルの一味になることを選んでいて、それは完全に悪事である」と突きつけている。

私たちのほとんどはエルファバのように強く生きられなくて、楽な方、心地良い方に流されてしまうし、「清濁上手く合わせ飲めばいいじゃない、いっそ利用してやればいいじゃない」というグリンダに共感してしまう。でもそうやって生きていたら、上手くやっているつもりでいつかすべてを失うんだと。直接的に加害したわけではなくても、見て見ぬ振りをすることは悪事に加担するのと同じ。何も知らなかったでは済まされないのだ、大人なのだから。グリンダは被害者じゃない。チュウ監督は本当に厳しい。

でもグリンダは愛するもの全てを失っても、自分の役割から逃げ出さず、強い意思で世界を変えようとしている。そしてきっと魔法を使えるようになる。最初から正しいものを選べなくてもやり直せる、ここから学び直して良い人間になることはできるんだ、というラストが救い。

前編よりさらに政治的メッセージの強い映画に

舞台版よりディティールの描写ができることでぐっとリアルになったな、と思うのは動物にまつわる演出だ。言葉を奪われて強制労働させられる様子、オズを追われて他の世界に避難しようとする場面、檻に入れられた知識階層の動物たち、そしてラストの進展の様子など。そして排外主義に屈するな、と歌う新曲"No place Like Home"もあって、もう、元々かなりイデオロギーの強い舞台作品がゴリゴリに政治的な映画になっている。あまりにも素晴らしかったのですが前編の魔法学園物からの温度差がすごすぎて初見の人たちがひきつけをおこさないか心配です。(後編を見た後に前編を見返すと全員顔があどけなくて泣ける)(でもこの残酷さがWickedです)

エルファバもDefying Gravityから「抑圧されてきた自分を解放して、自由を求める人(つまりアナ雪のエルサのようなキャラ)」という印象があるけど、実際に動物を救い体制と闘ったり支援を求めたりする場面が追加されていることで、自分の信念や弱いものを助けるという「革命家」としてのキャラクターがわかりやすくなっていた。自分を受け入れてもらえないからオズを去ったのではなくて、本気で差別をなくしたいと思っての行動なのだと、わかるからこそ一度は和解を選びそうになるのも納得感がある。

舞台版への深い愛とリスペクト

前編でもずっと言っていたと思う。とにかくこれ。チュウ監督、スタッフ、キャスト、全員が深く深く作品を愛してくれていることが伝わってきて1億点の映画化です。

後編で特に注目していたドロシーとその仲間たちの描き方が個人的には大満足。ドロシーはキャストは立てて映画「オズの魔法使い」と紐づいたシーンを連想させつつ、作品内では顔を見せない。エルファバを倒すところは舞台版を踏襲した影絵の演出。ブリキやカカシの出し方も細かい配慮があって、CGを活用した映画でありながら、舞台を観た時の驚きや感動のタイミングは一切損なわれないようになっていて感動しました。

そして何より、ラストシーン!!!!!!あの場面のために全てがある。素晴らしいラストだった。

 

各場面のあらすじと感想、舞台版との違い(ネタバレあり)

まだ2回しか見ていない(しかも片方は全くわからない韓国語吹き替え)ので、記憶違いのところもあるかもしれませんが…。各場面の流れ、印象的だったこと、舞台版との違いを書いておく。

オープニング

オズの辺境、エメラルドシティから伸びる黄色いレンガの道(前編ではグリンダがレンガの色を黄色に指定するシーンがありましたね、もうこんなに開発が進んでいるんだね)の工事風景。言葉を奪われた動物たちが大量の煉瓦を乗せた荷台を引いている。そばにはオズの制服を着た役人がいて「早く歩け!喋るな!」と動物に鞭を打つ。

 

もう初っ端から「なんて政治的な演出をしてくるんだ…」と仰反る。舞台版ではディラモンド教授が連行されるシーンはあったけど、動物が強制労働させられている場面なんてなかったので。動物への差別の具体性、言葉を奪った後にはこういうことが待っていたのかと突きつけられる。これはもちろん、現実の人間の世界を模していますよね。えぐい。

あと「オズの魔法使い」で我々に染み込んでいる"Yellow Brick Road=幸運への道"が明確に誰かの犠牲の上に成り立っているという構図も、ぐりぐりと抉ってくる。ウウウ。

そこに現れるエルファバ。空から役人の鞭を取り上げ、魔法の力で動物たちの鎖を引きちぎって解放する。ここはもうフゥー!!!と歓声を上げたいくらい格好良い。

箒をぶん回して役人たちを倒すところでは「意外と物理でいくのねエルフィー」箒に両足で飛び乗るところでは「スケボーみたいな乗り方もするのねエルフィー」と脳内のグリンダがツッコミを入れていたが。笑

前編のオープニングと同じチューリップ畑を走りながらエメラルドシティに逃げ帰る役人の様子に合わせてタイトル表示。音とバチっと合っててかーーっこいいーーー。

Every Day More Wicked

広報官になったマダム・モリブルがマイクの前でエルファバへのアンチテーゼを歌うのは舞台と同じだけど、追っ手の衛兵たちを撒いてアジトに帰ったエルファバの新パート(Wizard and Iのメロディライン)とエメラルドシティで「善き魔女」となったグリンダの新パート(What is this feeling?のみんなあなたの味方よ♪部分と、Popularのメロディライン)が追加されている。

1年空いた後編のオープニングなので現在の世界の構図のおさらいができるつくり。エメラルドシティとエルファバの潜伏先の距離感とか視覚的に掴めてわかりやすい。

あとこの時のグリンダのスタイリングが作品中で一番好き!かわいい!表情も晴れやかで可愛い!というかこの時がたぶん一番幸せそうに見える(泣)

幼少期のグリンダ

舞台にない追加シーン。

マダムモリブルからシャボン玉の移動装置を見せられてはしゃぐグリンダ。(この装置、シャボン玉が出るのはともかく飛ぶのは普通にすごいよね、オズはどうやって作ってるんだろう)

彼女はシャボン玉を見ながら幼少期のことを思い出す。幼い頃の誕生日会で欲しかった魔法の杖をもらう。みんなの「魔法をやってみせて!」の声で杖を振るが、もちろん何も起きない。しかし偶然、外に虹が出ていることを自分がやったのだということでその場をやり過ごす。一人「本物の魔法がほしかった」とがっかりするグリンダに"You got what you wanted.(あなたは欲しいものを手に入れているのよ)"と言うグリンダのお母さん。

…ここ、前編のスターダスト・ダンスホールでモリブル先生から杖を受け取った際に、嫌がらせをしたエルファバに助けられてしまった…と気まずい思いをしていたグリンダとフィエロの会話"I got what I wanted"(欲しいものが手に入ったわ)  "So what's the matter?" (じゃあ何か問題あるの?) "Nothing."(なにも。)とかかっていますね!?

グリンダはいつも欲しいものは手に入れてきた、それは欲しかった本物の形ではないけれど。少しずつ自分を誤魔化しつつ、満足していると信じてきた。そして「愛されるための嘘もついてきた」という描写を入れたあたりがチュウ監督は辛辣だなと感じる。 

Thank Goodness / I Couldn’t Be Happier

シャボン玉を稼働して地方の街(マンチキン?)でフィエロとの婚約発表をするグリンダ。

舞台版との変更点として、モリブルの「エルファバが嫉妬して真の魔女であるグリンダを邪魔してグリモリーを奪った」という紹介パートは消えていた。これセリフでも補完がなかった気がするけど、日本語字幕が入ったら確認したい。

あとこの会のメインは婚約発表ではなく、黄色いレンガの道が通ったことをお祝いする会。動物に強制労働させて作った首都までの道路の完成を盛大にお祝いして、邪魔したエルファバの恐ろしさはアピールするの、すごくなんというか…プロパガンダの香り。

フィエロが婚約に投げやりな返事をして去った後のグリンダのパートはスローモーションで、周りからは見えない本音を歌っている演出。本当に欲しいものは手に入れられていない気がする、でも幸せなことに変わりはない、と歌うグリンダ。

式典でレンガの最後の1ブロックをグリンダがばて、花火のような煙が上がったところでエルファバが現れ、雲の中に"our wizard lies"(私たちの魔法使いは嘘をついている)と文字をあらわす。しかし民衆はエルファバの登場に混乱して逃げ惑っていて文字を見ていない。モリブルが魔法で雲の位置を変えて"OZ dies"にしてエルファバへの恐怖心をさらに煽る。うまい。エルファバも動物を助けるだけでなくて民衆の意識を変えようとこういう活動もしていたんだな、追われる身で本当に偉いな…。

隠れ家に戻るエルファバ、追うフィエロ、衛兵たち。

マンチキン総督となったネッサローズ

マンチキン総督邸の追加シーン。ここ台詞を正確に聞き取れたか不安なんだけど、ネッサが動物を排除する条例?にサインするように言われてボックが止めて、ネッサが「でもこれにサインしないと姉と同じだと言われてしまう!」とピリピリしているような会話があった。

ただこの時はまだお互いに思いやりの心があり、ボックも遠慮がちに「そろそろこここを離れたい」と伝える。ネッサもその場では認めたように見えるけど、翌日ボックがエメラルドシティ行きの列車に乗ろうと駅に行くと「マンチキン国の住民がマンチキンを離れるときは総督の特別なビザが必要になった」と言われ乗車を拒否される。ボック以外にも電車から追い出され「マンチキンに戻れ」と言われる家族の姿が。

え、えぐい。ここで"ビザ""移動の自由"なんて設定も入れてくるとは。これも現実の世界を模していることはいうまでもない。そしてネッサ、これは「悪い魔女」と言われても致し方ない。

No Place Like Home

はい、映画新曲①!!!!!!!

エルファバがオズから脱出しようとする動物たちを説得しようとする場面。エルファバの乳母のダルティーベアもまた出てきてうれしい!他の場面にいた動物さんもいた!みんなかわいい!

動物たちは危険を知りつつもオズの外側に逃げるという。「オズの外はとても過酷な環境…」と言ったエルファバの脳内に一瞬出てくるビジョンがラストのエルファバとフィエロの姿だったので、やはり未来予知ができるんだな。このオリジナル設定、最後まで特に言及されなかったけど。

さてこの新曲。"There is no place like home."とは「オズの魔法使い」でも最も有名なドロシーのセリフ。日本では「おうちがいちばん」でお馴染みですが…それをこんな使い方で新曲として入れてくるのかと脱帽する、超超超・政治的な曲でしたね。ぜひ英語そのままでも歌詞を見てほしい。

動物たちにここに留まって一緒に戦おうと決起を持ちかけるエルファバ。しかし動物たちは「こんな危険なところにはいたくない。追われているのにあなたもなぜオズにこだわるのだ」と問う。エルファバは歌う。

「この土地は私を愛してくれたことはないのに、なぜ求めてしまうのか?/今また退化しているようにすら感じる土地なのに」

「故郷はただの場所ではなく、約束であり理想だ」

「去りたくなる時、諦めてしまいそうな時、それこそ彼らが望んでいること。屈してはいけない、オズはあなたのものでもある」

「故郷に勝る場所はない。私たちがそのために戦い続ければ、必ずこの場所を取り返すことができる」

※適当な和訳なので日本語字幕がどうなるかわからないですがこんな感じ。

いやもうこれはさ、今まさに世界中にたくさんいる、自分の国で抑圧され搾取されて「文句があるなら国を去れ」と言われている人たち、そして実際に故郷を離れざるを得なかった人たちへのストレートな応援歌であり、体制への批判だよ。誰にとっても故郷が一番、それを奪われていい理由なんてない。「オズの魔法使い」で一番有名なセリフを、ファシズムと戦えという歌に変換してくるとは。もうここでおんおん泣いた。

しかしここで動物たちがよし一緒に戦うぞー!おー!とはならず、「そうはいっても無理っしょ」で散ってしまうのもリアル。革命ミュージカルではないのです…。

Wicked Witch of the East

民衆に気づかせようとしても失敗するし動物とも共闘できないし、でエルファバは協力を求めてネッサローズの元にやってくる。ネッサが「動物ばかり助けて私のことは助けてくれないのに、なんで私が協力しなきゃいけないの?」と言うのは舞台と同じ。

変更点として「私の足を動くようにしてほしい」ではなく「人生で一番幸せだったスターダスト・ダンスホールの夜の気持ちに戻してほしい」という願望を口にする。これ、結構わかりづらいお願い事だな…と思ったけど、ネッサ役を演じるマリッサが実際に車いすユーザーの女優さんだし、オリジナルのお願い「歩けるようにしてほしい」だと「歩けない人は歩けたら幸せだよね」というメッセージになりかねないので配慮ある変更なんだろうな。

暴走したネッサにより死にかけるボック、それを救うためにブリキ男に変身させるエルファバ。この見せ方どうするんだろうと思っていたけど舞台版を踏襲して変身シーンをストレートに見せることはなく、ネッサが部屋の外にいる間にエルファバが魔法をかけたという形もそのまま。

そして部屋の扉をボックが斧で割って出てくる場面は音響もあってだいぶホラー。そのまま斧でネッサに切り掛かってくるのかと思った。怖かったーー。

結婚式準備

自室で鳥に身支度を手伝ってもらうグリンダ、ディズニープリンセスすぎる!かわいい!!

グリンダの部屋の窓ガラスが割れて、エルファバが現れる。ティザー第一弾の場面ですね。このカメラワーク大好き。前編のラストの別れから数年ぶり(おそらく)に再会して抱き合う二人。

迷いなくエルファバを部屋に入れ、Are you OK?と気遣うグリンダ。私から上手くオズに頼んであげるからもう戻ってきて、と言うがエルファバは消える。

Wonderful

オズの前に現れるエルファバ。駆けつけるグリンダ。

舞台版からの変更点としてWonderfulがオズとエルファバ2人ではなく、グリンダも入れた3人のシーンになっている。これかなり良い変更!!さっきグリンダとエルファバが2人で話しているシーンもあるから、グリンダは悪意なくエルファバの悪役扱いをやめさせたくて、オズと仲直りしましょうよと言っているのだとわかりやすい。

あとWonderfulの歌詞って実はPopularと近いことを言っていて、「人は一度信じたらそれ以外のことは見ようとしない、真実や倫理なんて意味がない(だからイメージやポピュラリティーが大事なんだ)」という点で、オズとグリンダって近い思想は持っているんだよな、という気付きもある。思想というか、どちらも人間の本質を歌っているのですが、ええ。

また舞台版だと「戦い続けることに疲れてオズの元にやってきたエルファバ」という設定がそこまでピンときていなかったのだけど、映画では各地での戦いや動物たちへの説得の失敗のシーンたちを見てきたのでいよいよオズ本人のところに乗り込んできたのも納得感があった。

Wonderfulの振り付けがとてもよい!2人が少女時代に戻ったように楽しそうだし、前編のDancing Through Lifeで2人が心を通わせるきっかけになった、頭の上で手をひらひらする振り付けもある(泣)そして2人で箒に乗ってDefying Gravityのメロディにのせて「2人ならなんでもできる、一緒に組みましょう」とエルファバに訴えるグリンダ。オズはともかくグリンダに言われたらぐらつくよね。わかるわかる。

結婚式

エルファバの心が動いたのを見て安心し、じゃあ私は結婚式で待ってるわね!と飛び出していくグリンダ。

エルファバは和解の条件として動物の解放、手始めに護衛兵となっているチステリーたちを逃すように言い、オズもそれをのむ。すべての猿たちが飛び去った後にチステリーが隠し部屋をエルファバに見せる。暗い地下室の奥に入っていくエルファバ。

同じタイミングでグリンダとフィエロの結婚式が進行する。夢のように美しいバージンロードをゆっくり進むグリンダと、知識階層の動物たちが閉じ込められた檻の並ぶ地下室を歩くエルファバのカットが交互に流れる。エメラルド色の美しい結婚式場と動物が拷問を受けた場所は同じオズの城の中にある。胸に刺さる演出。

檻の中に言葉を失った恩師・ディラモンド教授を見つけて怒りが頂点に達するエルファバ。慌てて追いかけてきたオズに「やっぱり手を組むなんて無理、死ぬまで私はあなたと戦う」と宣言してその場にいる動物たちを檻から出す。ここでオズが"I'm not a BAD man."と言い訳するのに対して"N o,you ARE."と真っ直ぐ返すのが格好良い。そう、この異世界転生おじさんはモリブルのようなわかりやすい脅しをかけてきたりしないしなんかいつもニコニコしてて「悪い人ではない」と思ってしまいそうだけど、ド悪人です。

逃げ出した動物たちはそのままグリンダの結婚式に雪崩れ込み、式はめちゃくちゃになる。

舞台だと結婚式そのもののシーンはないし、美しい式のカットや動物たちが走ってくるシーンは映画ならではの表現で良かったなあ。それにグリンダの「幸せの絶頂の日をぶち壊された感」がよく伝わる。

 

オズを追い詰めるエルファバ。エルファバを捕えるためにやってくるフィエロと護衛兵たち。フィエロは逆にオズを脅して檻に入れ、エルファバを逃がそうとする。そこに駆けつけるグリンダ。グリンダを見て「自分はエルファバといく」と宣言するフィエロ。

という流れは舞台とまったく同じなのですが。結婚式がぶち壊されてわけがわからない間に婚約者が親友と去っていった、その瞬間からのグリンダの表情がすんばらしくて。映画公開前に読んだチュウ監督のインタビューで「とあるシーンを撮影した時に、本来は会話が別の場面に移っているからカットを切り替えるべきところ、アリアナの表情をずっと追ってしまったところがある。そこはそのまま使用した」と言ってて、どこかなーと思っていたんだけど即ここだとわかりました。オズとモリブルの会話の間もずっとグリンダの表情が見えて、「なんで?なんでこんな目に遭わなきゃいけないの?2人は私を裏切ってたの?いつから?」と混乱と悲しみが静かに怒りに変わって、一瞬すごくWickedな目になっていて、そこで取り憑かれたように「ネッサローズが彼女の弱点、ネッサが危険だと噂を聞いたらきっと出てくる…」と呟く。

I'm Not That Girl (Reprise)

誰もいなくなって壊れた結婚式場に戻り、「私は彼が選んだあの子じゃない」と前編でエルファバが歌っていたI'm not that Girlのリプライズを歌うグリンダ。歌い終わった後に声をあげて泣いているのが痛々しくて、グリンダを抱きしめてあげたくなる。グリンダは悪意なくオズの悪事に加担していてそりゃ善人とはいえないけど、結婚式当日に親友と新郎に逃げられるのは普通に相当につらいよ!!闇堕ちするよ!!

ていうか結婚式シーンでは本当はフィエロとのキスシーンがあったのをカットしたそうですが、まじで正解だったと思う。今から結婚します!てラブラブなキスシーンなんてあったらもう、フィエロおまえ!!!何してんだ!!!!感がすごい。

As Long As You're Mine

エルファバの隠れ家に一緒に逃げてきたフィエロ。隠れ家の様子を見て胸を痛めている表情がセクシーですね。二人とも予定外の展開だけど、本当は以前から思いを通わせていたよね〜というラブシーンに。

え、エロい…ジョナサン・ベイリーがエロすぎる。全年齢で大丈夫か!?!?!シャツ着ててその色気は問題ないのか!?!?!さすがSexiest Man Alive 2025!!!!初日後はTLを「ALAYMがやばい(あらゆる英語のスラング)」で埋め尽くしていた。わかるわかるわかる。

エルファバも柔らかいニットみたいなのに着替えていたり魔法でベッドまで飛んだり、かなり前のめりにラブですね…?エルフィーの"For the first time,I feel Wicked."が過去一番すんなり入ってきたよ。(この台詞は四季では「生まれて初めて幸せ」となっていますが、「生まれて初めて人に愛されて奇妙な、嬉しい気持ち」「親友であるグリンダの彼氏を寝取ってしまって悪役になった気持ち」などなど複雑な気持ちがWickedという言葉ひとつに込められている名台詞)

竜巻、ドロシーの到来

モリブルのお天気魔法でオズの国に巨大な竜巻が。これが「オズの国の魔法使い」のドロシーが家ごとオズに飛ばされてくる竜巻ですね。嵐の中でマンチキンでボックを探して彷徨うネッサは飛ばされてきた家の下敷きになる。

事後(あまりにも事後なのでこちらが目のやり場に困る笑)のエルファバはネッサが危険な目に遭うビジョンを見て助けに行かないと、と焦る。一緒に行くと言うフィエロを危険だからと止めたら、「これからはずっと一緒にいる」と返すフィエロ。(今後の展開を知っていると大人しく待っていてくれーーーーと思うけどずっと1人だったエルフィーからしたらそう言ってくれるのはありがたいよねえ泣)

嵐の中で進むフィエロと、解放されたチステリーたちが合流するショット。オズを守らなくてよくなったチステリーたちはエルファバ側につくんですね。ここ、舞台では特に描写がなくても「そりゃオズに脅されなくなったらエルファバにつくよね」と当たり前すぎてスルーしてたけどこのシーンがないと混乱する人もいるか。

再会

マンチキンでネッサの銀の靴を履いてエメラルドシティに旅立ったドロシーを見送るグリンダ。ネッサの死を悼むために現れたエルファバと口論するうちに大喧嘩に。

はい、後編で上位にくる大好きシーン!!!!!

ネッサの手前、神妙にしていたグリンダが「フィエロはあなたのことを愛してない、私のことを愛してる」と言われて思わず手が出てしまって「あら、私ってビンタなんてできるんだわ…」といいたげなちょっと嬉しそうな顔になるところも、その後ビンタし返して高笑いするエルファバも、お互い杖と箒をぶんまわしてるところも、グリンダがキィー!!とムキになってるのを見て素の表情で「面白いやつだなー」と笑顔になってるエルファバも、取っ組み合いのケンカする2人のすべてが愛しい!!2人とも相手に対してガチで悪態吐きつつ「学生時代に戻ったみたい」とちょっと喜んでるのが伝わってくる。

駆けつけた衛兵たちに捕まるエルファバ。「これは罠だったの?ネッサの死を私を捕まえるために利用したの?」と失望するエルファバ、それは本当に違う!と焦るグリンダ、そこに現れてグリンダに銃を向けてエルファバを逃すフィエロ。

エルファバが逃げた後、フィエロに銃を向けられても真っ直ぐ彼に向かって歩いていくグリンダと、見つめ合いながら銃を下ろすフィエロ…ここも泣いてしまう名シーンだったなあ…。泣

グリンダがHe just loves her.と言うのが、、彼女がフィエロを愛していたのも嘘ではないんだよね。ちょっと打算が多めだったり、エルファバへの愛とは種類が違うだけで。

No Good Deed

一番映画オリジナルの演出を感じる曲だった。舞台版では正直1曲かけて魔法を使っている場面という印象だったので、隠れ家(フィエロの城!new!そういえば「城を使ったら他の人はどこに住むの」「?他の城だよ」「あ、そうか」の会話があってシリアスな場面だけど面白かった)でゴリゴリCG、ゲーム世界のファンタジーぽい映像なのは新鮮だったな。

過去の回想や拷問を受けるフィエロのモノクロ映像の挟み方はちょっとベタだな…と思ったのですが、エルファバが「今までの私では大事な人を救えなかった。もう私は悪役、Wickedな魔女でいい」と開き直って今後の心を決める場面が、まさしくディズニーのヴィランズシーンみたいな映像と合っていた。

March of the Witch Hunters

オズの元を訪れたドロシーとトト、ブリキ、カカシ、ライオンと面会するオズ。もうかなり憔悴しているオズだがモリブルに言われた通り「願いを叶えてほしければ西の悪い魔女を倒してこい」とエルファバの討伐命令を出す。

悪い魔女を殺せ!と叫ぶエメラルドシティの民衆たちに、自分たちがどんなに酷いことをされたか演説するブリキ男。こんな姿にさせられた、と歌った後にバルコニーにいるグリンダと目が合う演出が…!ひいいいい。なんて残酷なシーンを入れるんだ。

憎悪に満ちたブリキ男がボックなのだとグリンダは気付いただろうか?ボックはグリンダを憎んでいるだろうか?ボックはずっとグリンダを一途に好きだったけど(そしてその示し方はだいぶキモくて、グリンダがそれに応えてあげる義務は全くないのだけど)彼をネッサに縛り付ける最初のきっかけを作ったのは確実にグリンダなんだよなあ。

Girl in the Bubble

新曲その②!!!!!!

ドロシーたちがエルファバの討伐に向かっていく様子を見たグリンダは静かに自室に戻り、鏡を覗きながら歌う。

「そこにいるのは美しい人生を歩む女の子/でもその「美しい人生」は嘘の上にできている」

「だって夢の中で生きていくのに必要なのはただひとつ、ずっと目を閉じ続けること」

グリンダが自分の勝ち得てきたもの、人生を振り返る。本当はまだ見ないふりをしてこの美しい嘘の人生の中にいたい、シャボン玉が割れた後の自分は本当は何者なんだろうと怯えながら、もうここから出ないといけない、と自分で決意して一歩を踏み出す曲で、彼女の成長が詰まった素晴らしい新曲。

特に「真実はいつのまにか染み込んでいくもの、一度真実を見たら見なかったことにはできない」というのはメッセージ性が強いなあ。コンサートでシンシアがこの曲のことを「グリンダが"善い人"ではなく"善い魔女"になることを決意する曲」と紹介していて、たしかにここで彼女はFor Goodに大きく動いたのだな。

 

決意したグリンダはネッサの死についてモリブルを詰問しに行くが逆に「あなたは何も考えずただ笑って手を振ってたらいい」と脅される。この脅迫されてソファに座り込んだシーンでアリアナのコンタクトが取れちゃった、と裏話インタビューで笑って話していたけど、モリブルが本当にWickedな声で怖いのだ。

March of the Witch Hunters(後半)

自分で馬に乗ってエルファバの元に走るグリンダ。ここ!!!前編のティザーの時からずっと、隠れ家の城に向かう/そこから出てくる馬に乗ったマントの人は誰だ?流れ的にたぶんフィエロだよね?と言い続けていたけど、グリンダだったのかー!!!!!そうかーーー!!!とやっと繋がって感動した。グリンダは自分の足でエルファバのところに行くんだね。

ドロシーを攫って妹の靴を返すようにと幽閉するエルファバ、そこに駆けつけたグリンダ。

For Good

フィエロが無事ではないという報せを2人で受け取るエルファバとグリンダ。「もうここで降参する、私は消える」と言うエルファバと「一緒に戻ろう、私がオズの真実を発表する」と言うグリンダ。

エルファバは民衆はグリンダを必要としている、自分は悪役として消えるので自分たちの夢はグリンダに叶えてほしい、と説得し、グリモリーを託す。私にはこれを読む力がないの、知ってるでしょう?と言うグリンダに「勉強したらいいの、これはただの文字だから」と返す。

"You are unlimited, you can do anything.Change the thing."と励ますエルファバ。いやー、エルファバ以外の誰も読めなかったグリモリーを魔法の才能もないグリンダが読めるのか?って全員思うけど、エルファバはきっと読めると思ってるんだよね。エルファバを誰よりも信じているのはグリンダだし、グリンダを誰よりも信じているのはエルファバなんだよおおおお(号泣)


舞台版では始まる前から客席の啜り泣きが始まることでお馴染みのFor Good。映画でももう会話から泣く。エルファバの"You are my only friend."に対して"And I have so many friends."と冗談ぽく髪を揺らすグリンダが学生時代のようで、切ない。たくさんの友達がいたけど、重要なのはあなただけ。

For Goodは本当にウィキッドという作品のすべてが詰まった曲ですよ…何も言えない。あなたに出会って私の人生が変わった、良い方向に。でも会えるのはこれが最後、これまでありがとう、幸せに生きてねという祈りの曲(号泣)

クローゼットにグリンダを隠して、ここから出ないように言うエルファバ。戸惑うグリンダにエルファバが"Everything is fine,I love you."と優しく言うところが子どもに言い聞かせるお母さんみたいに愛に満ちていて、それを見てこれからのことを悟ったグリンダもI love youと返すのがまた!もう!「ついに映画はI love youって台詞になりましたよおおおお!!!」と喜ぶ余裕は全くなく、顔面ぐちゃぐちゃで嗚咽していたよここ。

ドアが閉まり、外側のエルファバと内側のグリンダを同時に映すカメラワークが素晴らしすぎる。撮影中はお互いに相手の状態がわからないまま演技していたらしい。それであんなシンクロすることあるんですか?!?泣く2人を見てこっちももう息ができないほど泣きました。エルファバ、手でドアにキスもしてたよね?

ドロシーがエルファバに水をかけて溶かす場面は舞台版を踏襲した影絵の演出になっていて、すごく嬉しかった。そしてそれをドアの穴から見守るグリンダの表情があまりにも辛くて号泣。

海外のポストで「ここから始まりここで終わる」とグリンダが寮のドアの覗き穴を見るショットとこのドアのショットを載せてるものがあったんだけど、やめてくれーーーー涙で前が見えない!!!!

エンディング

無邪気に喜ぶドロシーたちが去った後、残された帽子を抱きしめて泣くグリンダ。チステリーに渡されたエルファバの遺品の緑のボトルを見てオズに再び馬で戻る。

ずっと喋れなかったチステリーがMiss Glindaと初めて声を出すのがここで、またまた泣く。

オズにボトルを見せて、これをあなたが飲んでるの見たことあるんですけど、これはエルファバのお母さんのものらしいですよ、と詰めるグリンダ。オズはエルファバの母が昔の不倫相手であること、エルファバは自分の娘だったことに気付く。もうかなり憔悴してボロボロだったオズは立ち直れない。

舞台版からの変更点として、ここI am a sentimental manのフレーズが消えてシンプルに退場となっていた。同情の余地なしなので、良いと思います。モリブルはチステリーたちに担がれて退場。悪役らしくてめちゃよい。

 

ドロシーたちも去り、オズとモリブルも追い払ったオズでグリンダは善き魔女として国を立て直そうとする。ここで前編の1曲目、No one mourns the wickedの場面に戻る。悪い魔女の人形に火をつけ「魔女を悼むものは誰もいない」と歌う民衆。あなたが悪い魔女と友達だったのは本当?と聞かれて、Our pass is crossed…と過去を回想しそうになったのを止めてグリンダは皆に話しかける。fellow OZians=オズの選ばれた市民ではなく、すべての民に。「危機は去りました。いつか新たな危機がくるでしょう。あなたたちが恐れるとき、私を頼ってほしい。善き魔女が変えられるように努力する」と。

広場にもエメラルドシティにも動物たちが戻ってくる描写が。舞台では見せきれなかった「動物が戻ってくる」という描写があるのがすごくいいなあと思った。ご都合主義かもしれないけど、エルファバの犠牲がちゃんと未来に繋がっていると感じられる。


隠れ家の地下にいたエルファバを迎えにくるカカシ(フィエロ)、二人は手を取り合ってオズの外へ。

私はエルファバと真に愛し合っているのはグリンダだという姿勢は変わらないですが(強火)誰を愛し助けようとしても拒絶されてきたエルファバを受け入れて、求めてくれたフィエロがいて本当によかった。エルファバはフィエロによって救われたんだなと思う。

ラストのWho can say if I've been change for the better?のフレーズは遠く離れた二人が歌う演出だったのだけど、グリンダの元のグリムリーが光って力を持つようなシーン→エルファバの笑顔の流れがあって、これはグリンダがちゃんと名実ともに魔女になっていくことを示しているんだと思う。力の譲渡みたいなことができるのかわからないけど、エルファバはグリンダが魔法を使えるようになると確信していたよね。

 

そしてそして、映画の最後のワンショットが…!!!!!舞台版ポスターのあの構図の二人で、映画館で叫びそうになった。こんな最高のラストシーンがあるでしょうか。

チュウ監督はあの場面を絶対に広告に使わないよう、ネタバレさせないようユニバーサルに交渉していたらしいです。大正解です、ありがとう!!!!あのシーンをネタバレなしに映画館で見られただけで、韓国まで行った甲斐がありました。

何百回でも言いますがこの布陣で映画化してくれたプロデューサー、監督、スタッフ、キャストの皆々様本当にありがとうございました。20年待ってよかった。これ以上はない完璧な映画化でした。

 

ふー、かなり長文になってしまったので、韓国でゲットしたグッズなどについては別途書きます。

Wicked関連ブログ

前編を韓国で見た時の感想はこちら。

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後編ティザーの感想はこちら

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前編で盛り上がった日々の記録はこちら

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前編ティザーの感想はこちら

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劇団四季の感想はこちら

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