Finding Neverland

f:id:oukakreuz:20170921231953j:imageファインディング・ネバーランドの来日公演を観てきた。トニー賞パフォーマンスで気になり、2016年にBWでtktsに並びながら迷いに迷ってダレンのヘドウィグを取ってしまって以来(どちらも主演がgleeキャストで迷っていた笑)ずっと観たかった作品。まさか日本に来てくれるとは。


とにかく泣いた。1幕はストーリーが単調というか、子供心を忘れない主人公VS大人になれと迫る周囲の図がどうしてもそんなに深刻な状況には見えなくて(要はスランプでしょ)美術は綺麗だけど脚本は悪ノリが多いなーくらいに思っていた。のに。2幕はもう7割くらい号泣していたと思う。



1幕で感じた「ストーリーの単調さ」というのは2幕で大きく変化するわけでないのだけど、人間の心理描写が本当にぐっとくる。そして夢のようなファンタジー世界の演出の美しさが胸を打つ。


最新の技術で本当に役者を宙に飛ばすことなんていくらでもできる時代。作品の中では比較的大掛かりに見える1幕ラストのマストも、もっと迫力あるセットはいくらでも作れたと思う。でも装置は全体的にかなりシンプルだったし(ツアー用に簡略化されていたのかもしれないけど)全てにおいてできるだけ人力を貫こうという演出にこだわりを感じたし、それが作品全体にどことなくレトロな雰囲気を醸していてよかった。
また作品の「演劇」に対するスタンスが一貫しているのを感じた。そこにないものを心の目で見えるようにするのが演劇なのだ。
そして映像もその想像力を邪魔しない程度のリアル感で、美しかった。


そこには無いものを本当にあると信じるのが遊び(play)であり演劇(play)であるとか、子供にとって永遠に大人にならない国ネバーランドは、大人にとっては死者が永遠に年を取らず幸せに過ごせる場所である、とか、テーマは本当に大人向けだなと感じた。
逆に子供はどんな目線でこの作品を楽しむのか気になる。ピーターパンの裏話、親を亡くす子供目線で感動するのかもしれない。

特に好きだった場面は、1幕の「メリーゴーランドのような人生」と追い詰められる場面と、王道の1幕ラスト

2幕のパブ


そしてピーターパンの上演以降。
2幕は特に祖母の存在感が素晴らしかったな。心から娘と孫を心配しているからこその言動、そして「子ども時代の心、想像力を消して生きている」人物の代表格である祖母が、ピーターパンのあのソロを歌う流れ、後見人としてバリと協力していくことが見えるラストが本当によかった。キャストさんのお歌もめちゃくちゃ上手かった。。

一点残念だったのはバリとシルビアの関係。


気にしすぎなのかもしれないけど、恋愛関係を匂わされてしまうと、結果的にやっぱり不倫じゃん…となるし、全くそういう感情がなかったにしろ前半のやりとりも恋愛関係に到るまでのニュアンスを含んでしまう。あのキスは蛇足だと思うなあ。
映画にはそういう描写はなかったようだし、ハグや頬へのキスくらいなら親愛の情と解釈もできたのにな。。「周りの誰にも理解されないけど本人たちの中では純粋な友情であり同志である」というピーターとウェンディの関係を貫いて欲しかったな…。


上演前に授賞式でパフォーマンスしておきながらトニー賞にかすりもしなかったの、観る前は意外だったのだけど観たら納得した。でもそれは全然悪いことじゃなくて、トニー賞の求める「目新しさ」が全くない、ある意味珍しい新作ミュージカルだったということだなあと思う。テーマも演出も衣装デザインも奇抜さはなく、しみじみと良くて、古き良き作品を彷彿とさせる感じだった。
音楽は、帰りに口ずさめるような曲が無いなあと思っていたけど、帰宅後にサントラや動画を繰り返し聞いていたらしみじみ良い曲は結構あるなーと思った。なんか全体的にポップスぽい感じだからかな?
自分の人生ベストランキングに食い込む!というような好みの作品ではなかったけど、泣いたランキングでは間違いなく入っているし(笑)観てよかったなあと思える作品でした。

f:id:oukakreuz:20170921232930j:image泣きまくり顔がボロボロの状態でヒカリエの下に降りたらちょうどキャストが出てくるところで、主演陣はじめほぼ全員に会ってサインを頂いたり写真を撮ったりしてしまった。。子役たちみんな元気いっぱいで明るくて、さっきまであんなに泣かせてきた子達と同じ人物には思えなかった。役者だ!!