最近、インターネット老人会がざわつくニュースが発表された。Yahoo!ジオシティーズのサービス終了だ。私も老人会の端くれとして黒歴史の一部をツイートしたところじわじわRTされていて恥ずかしい。
ジオシティーズさんがサービス終了ということで、私がIDとパスワードを紛失したまま16年間インターネットの海に漂っていた私の初めての個人サイトはやっと消滅することができるんですね……成仏しろよ………
— 桜花 (@oukakreuz) 2018年10月1日
一昨年はてなブログに引っ越してくる前はjugemで11年ブログをやっていた。そしてjugemを始める前は、Yahoo!のWeb日記を書いていた。Web日記。ブログというサービスが世に浸透する以前の話である。Web日記とjugem時代の前半まではYahoo!ジオシティーズで作成した個人サイトにリンクを貼っており、サイトの一コンテンツとして日記を更新していた。
個人サイトでは今と変わらず観劇の感想や当時から好きなSound Horizonなどの二次創作イラストをコンテンツページとしてせっせと作成していた。ギャラリーとして誰かに作品を見られたいというよりは、インターネット上で私というひとつの人格を作るような感覚でサイトを作っていた。まだSNSの無かった頃、インターネットで趣味の合う誰かと出会うためにはまず自分のサイトが必要、というような時代だった。(にちゃんや交流BBSはあったけど、あれは個人対個人の出会いの場ではなかったような気がする。)
私は自分の好きなものを同じように好きな人と語りたくてたまらなかった。
自分の好きなものはこれです、と表明する場としての個人ホームページ。
それをジオシティーズのカテゴリに所属させたり、「●●同盟」とか「●●好きリンク」なんかに参加依頼をして名簿リストにサイトリンクを載せてもらう。自分も名簿から趣味が合いそうな人のサイトを見つけたらお気に入りに入れて日参し、舐めるように日記を読み、勇気を出してBBSに「初カキコ失礼します///」と投稿し、管理人さんから返信が無いかドキドキしながら通い、反応があれば飛び上がって喜んでキャプを取り、キリ番報告などをしながら徐々に交友を深め、「バナー貼らせて頂きます><」と挨拶して自サイトにリンクを貼り、相互リンクを貼ってもらったらまた飛び上がって喜び…だめだ、ここまで書いただけで脇汗がすごい。バナーは直リンク禁止でお願いします…。
個人サイトをきっかけに仲良くなった人たちと初めてオフ会に参加した時はめちゃくちゃ緊張した。初めてライブのために遠征した時は、相互リンクの東京在住のお姉さんにお茶をご馳走になった。
あの頃に出会った友人の何人かとは今も関係が続いていて、気付けば一緒に旅行したり、お互いの結婚式に出席したりする仲になっているのはなんだか不思議だ。サイト時代に一方的に憧れていた人に対しては、定期的に会える仲になっても「お会いできて恐悦至極です…」というテンションがたまに出てきてしまったりする。
スマホの無い時代からインターネットに入り浸っていた人たちはだいたい今もインターネットをしていて、数年越しにSNSで再会できた人も多い。
ジャンルがころころ変わっていたり、ずっと同じものが好きだったり(観劇好きの人は、二次創作が他ジャンルに動いても舞台自体はずっと好きな人が多い印象)日記や呟きの内容もテストや親の愚痴だったのがいつのまにか子育ての話になっていたり、本名も知らない赤の他人なのに、FBで繋がる同級生などよりずっと深く近くお互いの成長を見てきたかのような気持ちになる。やり取りをしたことがなくても、私のことを見守ってくれている人もたくさんいるのだろうな。
SNS、特にtwitterとpixivが出てきてから、わざわざ個人サイトを作る人はかなり減ったように思う。作品を公開するのもそれを拡散するのも簡単になり、日々感じたことだけを呟いていても誰かにフォローされ、ニッチな趣味でも検索すれば仲間が見つかる。一億総情報発信が当たり前の時代になった。
だけど、好きを発信するためだけにせっせと個人サイトを作ってた時代があったことも忘れたくないな。HTML解説サイトを血眼で読み、素材屋サイトさんのお世話になり、ああでもないこうでもないと手を加え更新し続けたあの頃。壁紙画像やアイコン、テキストのフォントひとつ取っても管理人さんの好みがわかる、その人の部屋を覗かせてもらっているような存在だった個人サイト。年齢や居住地域もばらばらな友人たちに初めて出会わせてくれたインターネット。
私と同様、黒歴史が消えることにホッとしている人もたくさんいると思うけど、思い返せばいろいろと楽しかったな〜と懐かしくなったりしたのだった。今までありがとうジオシティーズ。これからのインターネットにも幸あれ。