生徒の実力が演出家を超えた雪組 壬生義士伝

雪組壬生義士伝/Music Revolution!観てきました。相変わらず千秋楽後のブログになっちゃった…。

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感想はタイトルに尽きる。もっと正直に書くと「演出家が生徒の足を引っ張るんじゃねえ」という気持ちです。

壬生義士伝、ぼろっぼろに泣きました。なんかねもうだいきほの歌声が重なるだけで涙腺に響くし、雪組生の「芝居心」に感服いたしました。そして大阪屋敷以降のだいもんの演技には本当に圧倒された。芝居を見ながら何も考える前に涙が流れているこの感覚…ファントム以来だよ! 

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いや本当に、ファントムで「ここまで作品の力を最大限に引き出せるなんて、今の雪組さんはどうなってるの?」と驚いたものですが。今回は「作品の力とか関係なかった!今の雪組さんの実力が本当にすごいんだ!!」と実感した。だって、脚本と演出がひどかった。いやいやいや…びっくりしたわ。原作は大変素晴らしい小説なんだろうと節々からわかりました(私は原作未読です)が、それは決して雪組壬生義士伝の脚本が良かったからではなく、生徒の役作りが素晴らしく、短い台詞や表情の隅々から役の奥深さが伝わってきて、きっと原作を読み込んだ結果なんだろうなぁと伝わってきたからです!ダーイシ!!なんだこれは!!!劇場のすすり泣きの嵐は全くあなたの手柄じゃないからそこのところ勘違いしないでね!!?

いやー、ダーイシといえば私が宙組の銀河英雄伝説にどハマりして「このままヅカに戻っちゃうかも…!」と言いながら観に行った次作「モンテ・クリスト伯」で「あ、やっぱり大丈夫だったわ。一作だけの沼だったわ」と我に返らせてくれたことでお馴染み(?)さすがダーイシ。原作がどんな傑作でも己の自己満足でどうでもいいシーンを継ぎ足し恐ろしい改悪をしてしまうダーイシ。本当に誰か止めてくれ。私が演出助手になりたい。

長い原作を1時間半にまとめるだけで大変なのはわかる。わかるのだけど、こんなシーンを入れるくらいならもうちょっとこのエピソード掘り下げたり説明できたんじゃない?っていうのが多すぎましたよね。まずは鹿鳴館全般のことなんですけど。リストラとか牛乳とか玉の輿とか意味のない説明台詞や面白くもないコントシーン。全てが不要で、本編の凛とした空気をぶち壊していた。役者の力量と観客の知識を低く見積もりすぎているのか、単純にあれがダーイシの見せたかったものなのかわかりませんけど…。(娘役の出番を増やしたいだけならせめて冒頭のダンス教室だけでいいよね…)生徒がとても良い演技をしていて、緩急つけたお芝居を見せてくれているのに毎回毎回ちょうど良いところで暗転ぶつ切りで狂言回しを挟まれるのがとてもストレス。狂言回しなのにわかりやすくないし。多すぎるし。ぞろぞろ全員で銀橋や幕前を行ったり来たり…。

ていうかそもそもカチャの役柄、必要ありました??本編でいつ吉村と絡むんだろうと見ていたら最後まで出てこず、ずっと「牢屋で聞いた話だが〜」と又聞き情報だけを繋ぎ、本人も何の役なのか全然わからないから薄いし(原作にはほぼ登場しない人だと聞いて脱力しました、そりゃ役作りも難しいわ)専科からわざわざ呼んでくる必要あった?最初から最後まで吉村と対面無しって…新撰組の誰かを演らせてあげたら良かったのに…。

で、どうでもいいシーンに時間を割きまくっている割に色々と描写が足りず、肝心の部分が観客の脳内補正に任されている。例えば吉村と大野の絆はもっとエピソードつけてくれても良かったのでは、とか、吉村がなんかめちゃくちゃ大事にしてるっぽい武士の「義」って結局なんなのとか、新撰組の没落→鳥羽伏見の飛びっぷりとか…。まあそこらへん全て、生徒の演技が素晴らしすぎたので勝手に調べて脳内で補正できましたけど。ええ。

原作を読んでいない身としては一番よくわからなかったのがラスト、鳥羽伏見→大阪の南部藩屋敷の流れ。屋敷での切腹前後の流れが本当に本当に本当に素晴らしく、吉村の一人芝居はもちろんのこと大野の決断、おにぎりを握る佐助さんの細やかな演技、全てが涙腺にくる場面だった。のだが、よくよく考えると「なんで吉村はここに来たんだろう…」というのがわからない。だってその前の鳥羽伏見の場面では「命を大事にしろ」と新撰組のみんなに止められながらも「武士の義のためには行かないといけない」と一人で戦場に飛び出す描写がありましたよね。私あそこはてっきり吉村が死ぬんだと思ったもん。戦いながら新撰組の面々の「吉村…!」コールもあったし(あれも不要だと思うんだよなあ。吉村って新撰組との人間的な絆をそこまで感じてないキャラクターのように感じたし、むしろ家族の声とかの方が良いのでは、いや声自体いらなかったな。)オスカル式戦死ポーズもあったので、てっきりこのまま死後のフィナーレにいくのだと思っていたし、「大阪屋敷に父の姿が…」という語りは幽霊になった吉村が死後の妻子のことを頼むために大野に会いに来たんだと思いましたよ。本当に。あれだけ大見得切って戦場に行ったのにまるで命乞いのように大阪屋敷に現れ切腹を申し付けられる…。ように見える。吉村ってそんな人じゃないよね。前述の通り生徒の演技が本当によくて、原作には絶対にもっと深い事情や話の流れがあるのだろうと想像に難くないだけに、なんでそこ描いてくれないの!?とモヤモヤしてしまいましたよ…。

正直普段から宝塚の当て書き作品には芝居としてのクオリティはほぼ期待をしていないし、愚痴愚痴言っても仕方ないんだけど、今回は演出家がダーイシでなければ外部の演劇賞も狙えたのでは?と思う出来だっただけに本当に惜しい。劇団は本当に反省してほしい。

何度も繰り返すけど役者は本当に良かった…。新撰組の皆さんも、細切れの場面の中でそれぞれのキャラクターがすぐに見分けられる役作りをされていたな。特に中心メンバー、斎藤、土方、沖田、原田あたり、もうピスメ新撰組で育ったオタク的には「私の知ってる新撰組だー!」感がすごかった。斎藤と沖田の絡みとかね…。永久輝せあさんの沖田、涼やかな話し方と健全な精神に狂気的な強さが共存してる感じ、組!!の藤原竜也さんの沖田を思い起こす理想の沖田でしたわ…。あと吉村ファミリーがみんな演技すごく良くて、息子役の方とか上手いな〜と思ったら彩海せらさんはなんと研4なのね!すごい。雪組さんすごいよ〜いいよ〜。だいもんはもう規格外に好きです。二番手三番手時代から役作りについてお話されているのを聞いていても、とても聡明な方なんだなと思っていた。しっかり原作や脚本を読み込んでご自分なりに解釈を深めた上でそれを完璧にアウトプットできる方なんですよね。役が“降りてくる”憑依型タイプではなく頭で考えて計算した上で表現される方なのかな、と思っている。大好きです。歌もダンスも良いのにストプレ見たくなってしまうなー。あらゆる役をだいきほで見たいんですけど、とりあえずそろそろ二人とも死なない作品お願いします。

Music  Revolution!の方は、問題なく楽しかったです。はい。感想が短い。楽しいー!!この方はだれ!?と思ったカノンのセンターが沖田素敵〜と思ってた永久輝せあさんだとわかって自分の嗅覚に笑いました。雪組かっこいい人こんなに多かったっけ?Music is my lifeの雰囲気もすっっごい良かった。なんというか今の雪組にいられることを皆さん幸せに感じてるんだろうな〜というのが伝わってきた。私も見られて幸せです。大好物の燕尾の群舞も良かったああ。そしてあそこにカチャが出ていないと聞いて、ますますなんでこの公演にカチャは客演しているのだ…?ともやもやしてしまいましたよ。劇団は専科さんの使い方をもうちょっと考えてくれ。いやでも、レビューは楽しいですね。組子みんなに出番があって輝いていて。楽しそうなみんなを見ているとハッピー。雪組さんの次作品も楽しみです。