お伽話を信じるか?ミュージカル「アナスタシア」

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私の各種SNSをご覧の方はご存じかもしれませんが、ここしばらくミュージカル「アナスタシア」に狂っていました…。

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昔から映画版は好き、BW版は未見、2年前に宙組公演のムラ楽の配信を見て大ハマりし、このブログ↓を書いた後に東京公演に2回行っていました。

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梅芸版の初演はコロナ禍で観られず、再演こそ!とマイベストな組み合わせのキャストでチケットをとり観劇したのですが…それがあまりにも良くて追いチケを重ねてしまい…計3回違うキャストで観ました。幸せな半月だった…。まじで口を開けばアナスタシアの話をしているのでこれは好きなところとキャストの話を吐き出すブログです。

アナスタシアの好きなところ

無限にあるんだけど、まずは曲が最高に良い。そして魅力的なキャラクターと王道のおとぎ話ストーリー。個人的には主役カップリングと曲の使い方(リプライズ)が特にツボに刺さるのであった。

2幕が1幕に比べて盛り上がりに欠けるとか(見せ場、名曲も1幕に偏っているしな)ストーリーに穴やちょっと冗長なところがあったりとか、ミュージカルとして完璧な作品ではないと思う、BWでの評価が微妙だった理由も全然わかる、わかるんだけど、私はもう萌えが強すぎて冷静に判断ができん!!!2幕はバレエ前後の場面だけで優勝ですから!!!ラストシーンの美しさを前にしたら何も文句言えないから!!!!す!!き!!!

私がものすごーーーく好きな場面はですね、

・アニメ版から引っ張ってきた曲でこんな完成度の高いオープニングになるの天才過ぎないか??となるA Rumor in St. Petersburg大好き〜街の紹介でありながらひとりひとりの紹介にもなっていてめちゃくちゃわくわくする。そもそも街の名前が入っている群衆ソングが大好きなんだよな(M!のここはウィーン!、R&Jのヴェローナなど)

・Stay, I Pray Youで毎回号泣する。キラキラおとぎ話にこの曲が入っていること、イポリトフ伯爵の話を入れていることがアナスタシアの最大の魅力だとも思うんですよね。アナスタシアがディズニーミュージカルだったらこのくだりは入れないと思うんだ。ファンタジーの架空の世界の話ではなくロシアの歴史の話なんだよと釘を刺される感じ。冒険に胸躍らせる前に、故郷に永遠の別れを告げる切なさ。

・In a Crowd of ThousandsからQuartet at the Balletの流れ!!!パレードの話で完全に「アーニャがアナスタシアだ」と信じる目になるディマ→跪いての「皇女様」(萌えの極致)→オペラ座への舞台変換。カテコかと思うほどのメドレー→威厳ある皇太后の登場→ヴラドとリリーのお茶目な暗号仕草→ディマのタキシード姿(最高)→ディマとヴラドのわちゃわちゃ(かわいい)→皇太后に重ねた存在感のあるアーニャ登場と青ドレス(美)→見惚れるディマ〜お互いちょっと照れながら腕組むまでの流れ(尊)が!大大大好き〜!!!!そして言わずもがな、白鳥の湖とOnce Upon a Decemberをマッシュアップした四重唱!!!あれを考えた人は本当に天才。ありがとうございます。

・Still/The Neva FlowsリプライズのアーニャVSグレブの背景にロマノフ家がオーバーラップするところ。ベタな演出ですが死ぬほど好きだ。アーニャは父の娘でありグレブは父の息子、親の思いを受け継ぎつつ自分たちで決めて次の時代に繋げるという流れが美しい。そしてディミトリもまた父の息子なんだよなーー。こういう構図も性癖に刺さるのであった…。

・曲のワンフレーズリプライズ大好物なので多用されていて嬉しい。オペラ座で2人を見送ったヴラドが歌う「はじまりはあの日のダンス」が♪貴族とただの男のメロディなのとか、グレブ退場で♪我が故郷に愛を〜が流れるの死ぬほどいい。

・ロマンティックかつ歴史のお話としては曖昧さのある、余韻を残すラストが大大大好き。アレクサンドル3世橋でのキスから皇太后とグレブが締めてロマノフの面々が出てくる大団円のラスト好きだーーー。

・これは梅芸版を見るまで気付けなかったことですが、キャストによって解釈が変わる!!!特にグレブは演者によって受け取り方がかなり変わる=物語全体の捉え方も変わるので、これは完全に沼ですわ。

初のオリジナル版

宝塚版しか見たことがなかったのでこれは元はこういう場面だったのか〜と気付くことがいろいろ。男役を違和感ない程度に主役に据えた宝塚用の潤色はやっぱり上手かったな〜と改めて思うものの、オリジナル演出によってアナスタシアという作品が本来持つカラーがよりわかりやすい。今回の翻訳歌詞が明瞭で伝わりやすいのも強い!特に宝塚で見た時はどういう人なのかよくわからなかったグレブの歌詞がかなりわかりやすくなっていた。

あと舞台セット(映像)とお衣装がとーーっても良くて。失礼ながら宝塚が初輸入した海外作品を外部で見るとどうしても「宝塚の方がお金かかってるな…」と感じてしまうことが多いのだけど、アナスタシアはオリジナル演出の方が好きだな。大掛かりなセットは回転する柱だけなのに場面転換が自然だったし、映像の遠近の使い方がとても良い。銃撃でガラス割れるのとかも近くで見ても自然だったし、映像のクオリティ高い!写実的な映像だけでなくて、列車シーンの背景が地図なのとか、パリでエッフェル塔を上がったりムーラン・ルージュに飛んだり、といったアニメ的な演出も良かった。

・アナスタシア役が3人いる(子役、過去/記憶の中のアナスタシア、アーニャ)のが面白い。特に記憶の中のアーニャを別の役者にしているのは一応アーニャがアナスタシアなのかわからない感じに意図しているのかしら。

・アナスタシアや弟王子アレクセイを子役が演じることで、こんな小さな子どもまで…とより胸にくるものがある。それはグレブもトラウマになるわ。皇太后の歌う背景に子ども時代のアナスタシアがかくれんぼしているのも幻想的で良かった。パリのホテルでアナスタシアが見る夢も、弟がブランコに乗って「僕もうすぐ死ぬんだ…」と言うのとか非常に悪夢っぽくてよい。カーテンコールで子役アナスタシアちゃんが最初に出てきてみんなとハイタッチするのかわいいな〜と見ながら「ていうか子役1人しかいない!?電車の乗客とかも含めてあれ全部1人で演ってたんだ!?」とびっくりした。

・男役の演じるディミトリがかなりお上品なんだろうなと想像していたけど(皇太后に暴言吐いた後にわざわざ謝るのとかw)、アーニャも娘役らしさが追加されていたんだなーという気付き。ダンスの練習でわざと脛を蹴ってすっとぼけるアーニャ負けん気の強さが現れていて好き。あとラストのトランクに乗ってキスするのも最高に萌えるのになぜ宝塚版は採用していなかったのだ!?

各回・キャストの感想

先にも書きましたが梅芸版アナスタシアを見て一番楽しい!と思ったのはキャストによる解釈の変化。芝居は生ものなので同じ役者が演じていても毎回変わるものですが、こういうレプリカミュージカルで役者によって解釈の自由度が高い作品はおたくに嬉しい!リピートしてしまう!特にグレブは三者三様の演技をされていたので物語全体から受ける印象が変わり、何度も違う組み合わせで見たくなってしまった。

初回:葵アーニャ/海宝ディミトリ/田代グレブ/石川ヴラド/朝海リリー

事前に自分のマイベストだろうという予測で選んだキャスト。海宝ディミトリ×田代グレ部×禅ヴラドを軸に選んだらこうなった。貸切の日で千社札シールをいただきました。ポストカードとかクリアファイル使えない族なので千社札嬉しい。

・海宝ディミトリに圧倒される。どんな人間にも化けられる方だと思っていたけど、それにしてもディミトリはハマり役すぎませんか???「俺のペテルブルク」で鳥肌が止まらず…ショーストップしていたのも納得。これまでの人生、矜恃、ディミトリという人間を1曲でここまで表していたのか…と初めてわかった。殴り蹴られ〜♪の念のこもった歌い方とラストのこの街ーーをーー↑↑のロングブレスに完全にやられてしまった。

・葵アーニャはアニメ版のアーニャっぽい。溌剌としていて前向きでかわいい。ダンスレッスンでわざとディミトリの足を蹴った後、ヴラドに向かってぶりっこ顔するのが超キャワ。高音がちょっとしんどいかな?という部分はありつつ細かな芝居が豊かで表情がくるくる変わって見ていて楽しい。

・禅ヴラド!!かわいすぎるおじ!!!この回でしか見られなかったのだけど「ぶいおーぶいおーぶいっ★」がかわいすぎて夢に出てきたわ。1幕はもっさりしていたのに(それも可愛いのだが)2幕で髪と髭が短くなったらいきなりイケおじになっててびっくりする。いやそれにしても可愛かった。

・海宝ディミトリ×禅ヴラドがかなり好きだった。なんか似た空気を感じるなあ、これは禅さんが元ディミトリ(アニメ版の声優)だからかしら…と思っていたが、むしろお二人ともマリウス系役者だからだな、とアンジョルラス系相葉ディミトリを見て気付きました。

・しかしなにより濃厚だったのは田代グレブ…!!3人のグレブを見た後に「なんかやっぱり田代グレブだけ異次元だったな?」と思った。ラブコメアニメ映画に1人日曜劇場とか大河ドラマから迷い込んでる人というか…。重い。苦しい。サイコパス。本当に引き金引きそうだったしアーニャに蛇のように執着してパリでもストーカーしてそう。田代グレブは結構お育ちが良さそうというか、革命前も結構良い暮らしをしていそうだな〜と思った。ネヴァクラブで「私は仕事なんて探してない」の言い方、田代は本当に蛇蝎のごとく怒ってる。あいつらのせいでロシア人であることが恥ずかしい!もかなり興奮してる。

・他の2人のグレブを観ると、田代グレブ回は歴史モノとしての重厚さが桁違いだな…としみじみ思う。三角関係モノとしては他のグレブの方が好みだったけど、ボリシェヴィキのドラマとしては圧倒的でした。まりおが這いつくばる姿からしか得られない栄養がある。

・朝海リリー、コケティッシュで上品、なのに笑いどころをしっかり抑えていてすごい良かった!!実はコムちゃんを宝塚卒業以来初めて見たんですが、すごく良い女優さんになられているんだなあ。

・1回だけ観るならこのキャスト、と決めて選んだだけあってとても好みだったし、海宝×田代×石川という耳に幸せな組み合わせだった。

2回目:葵アーニャ/相葉ディミトリ/海宝グレブ/大澄ヴラド/朝海リリー

初回の観劇直後にふらふらと買ってしまった2回目。

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初回を観た後に「これだけ完璧なディミトリを演じた海宝くんのグレブを絶対に観てみたい…!!」と思い、海宝グレブを軸に、せっかくなら木下アーニャと相葉ディミトリでできるだけ違うキャストを見ようと手配。しかし木下アーニャの休演で葵アーニャに。

・「アナスタシアって三角関係の話だったなそういえば」と気付く回。

・相葉ディミトリ、"ペテルブルクの王子"の名に恥じない王子っぷり。脚なっっが!顔ちっっちゃ!アニメ声!そしてなんかチャラい。モテにモテてきたけど初めて本当に好きになったのがアーニャなんだな〜という感じ。(海宝ディミトリは本当に恋愛したことなさそうという意味での初恋)ホテルのベッドに来るとラブシーン始まりそうでドキドキしてしまう。

・海宝グレブは真面目で気弱な公務員…という感じで早々に「田代グレブと全然ちがう!!おもしろい!!!」と興奮する。売春婦たちへの凄み方も静か。父のことをずーーっと引きずっているんだなあと伝わってくるし、アーニャのことを救ってあげたいと心から思っている。ラストのアーニャの握手で憑き物が落ちたような顔をしていて、「どうしよう粛清されてしまうかもしれない…」と心配になった。ラストちゃんと出てきてよかった。故郷で良い子と結婚してほしい。

・相葉ディミトリ×海宝グレブが同年代なのと海宝グレブが庶民派に見えるので、相葉ディマと海宝グレブがペテルブルクの路地裏で互いを認知してた世界線あるよな〜と妄想が膨らんだ。(田代グレブはコソ泥の知り合いなんていなさそうだけど)葵アーニャの人懐っこさも含めて3人の幼馴染三角関係ラブコメっぽかった。

・大澄ヴラド、イケイケだ〜。スマート!ダンスの足の動きの速さ!禅ヴラドのストレートな可愛さというより自分がどう見えるか計算も含めた愛嬌があって、これは転がされてしまうな〜。

3回目:木下アーニャ/海宝ディミトリ/堂珍グレブ/大澄ヴラド/マルシアリリー

2回目で終わりと心を決めて観たはずが、「相葉くんも良かったけど海宝ディミトリで締めたい…そしてやっぱり木下アーニャも見たいよおおお」となって残り数日の中で唯一の海宝ディミトリ×木下アーニャ回を手配。

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この日から晴香ちゃんが復帰されてガッツポーズ。そして結果的にこれでグレブを全員見られることに。

・晴香アーニャがめちゃくちゃ好み!!!!見られて良かった!!!!姿もお声もすべてがプリンセス。葵アーニャもかわいいかわいいと思っていたけれど、晴香アーニャは立ち姿がノーブルすぎて。イポリトフ伯爵やリリーがパッと見て腰を折ってしまうのがわかる。癇癪や1人で生き抜いてきた逞しさは葵アーニャの方が納得感があり、どうやってロシアの半分を歩いてこられたのだろう…。青ドレスでの登場が美しすぎて震えた。高音の伸びもバッチリ美しく、海宝ディミトリとのデュエットが耳に幸せ…。

・晴香アーニャは気の強いディズニープリンセスという感じ。海宝くんと2人でアラジンやっておくれ…。海宝ディミトリと惹かれあってくのがわかって見てるこっちが照れる。かわいい。

・海宝ディミトリのかわいさが増している気がする。白鳥の湖で「つま先で立ってんの!?」と目を白黒させているのがかわいい。アーニャに怒られてる時の困り顔も可愛い。(アーニャにあげるつもりで買ったあの人形何?マジでいらんww)

・堂珍グレブが良い意味ですごくストレートな役作りをされていて、「グレブにとってのドラマ」がわかりやすかった。崇高な理想を持ってロシア革命に身を投じて、普通にアーニャに一目惚れして苦悩して、最後は普通に失恋しつつ新しい価値観を得て&父親の影から逃れて吹っ切れた握手。堂珍グレブが一番将来に不安がないというか、思い詰めて自殺もしなさそうだし幹部から粛清もされなさそうで、ちゃんと良い国作っていきそうだな〜。ポップス出身というのも影響するのかな、Stillがラブソングに聞こえて新鮮だった。

・海宝ディミトリ×木下アーニャ×堂珍グレブはストレートに少女漫画、プリンセスアニメなラブストーリーだったなー。ディズニー実写映画でお願いします。

・マルシア姐さんのリリーめっちゃコミカルで面白かったーー朝海リリーとあまりにも違う役でびっくり。当然ながらヴラドとの絡みとかも全然違うのね。朝海リリーは自身が生まれながらの貴族で亡命後に逞しくなっていったように見えたけど、マルシアリリーは最初からガッツでのしあがった女性に見えた。豪商から玉の輿に乗ったとかそういうのを想像する。

・麻美さんの陛下が絶好調の回だった。過去2回は滑舌やお歌がちょっと厳しいな…と思いつつ威厳でカバーという感じでしたが。(正直皇太后のあのソロ曲は必要かしら…と毎度思ってしまう)マリア皇太后の気難しさと愛情深さと孤独を立っているだけで表現できるのはすごいよなあ。オペラ座で皇太后陛下が登場するシーンがほんと好き。

・初の夜公演、カテコに子役が出ないことに気づいた。子アーニャから始まる構図好きだなー。カテコでいつも皇太后陛下がノリノリで踊っているのもギャップ萌え。

 

 

なんかまだまだ語り足りない気もするのですが思い出したら追加します…。2人のアーニャ、三者三様のグレブを見られたことが本当に良かったな。ここまでくるとディミトリとリリーもコンプしたかった。次回に期待。

はああ楽しかった幸せだった、アナスタシア好きだーーーお伽話と複数キャストの面白さにどっぷり浸かりました。再々演も観られますように!