夏前くらいから転職活動をしていて、仕事と家事と育児でいっぱいいっぱいの生活がさらに圧迫されて余裕がなかった。逆に秋頃から急にブログの更新が増えたのは目処が立ったからです。わかりやすい。
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ものすごく疲れている時に映画を見たり小説を読むことができない。脳がストーリーを追うことができなくなる。何を見るか選択するのも疲れる。メニューを選ぶことがストレスで平日ランチは毎日同じものをコンビニで買ってしまっていたくらい。そんなわけで(観劇はかなり前にチケットを取っているので別だが)自分比であまり物語に触れていない夏だった。
それでも展示に行く機会は何度かあった。比較的いつでもチケットが取れて、会場内も自分のペースで歩けるのがいいよね。私は旅先で美術館に行くのが大好きで、都内の展覧会は気になるなーと思っているうちに見逃しがちなのですが。映画と同じで、いつでも行けると思うと後回しにしてしまう性質なのだな。(舞台と旅行は前々からの予約が必要だから動ける。)
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家族で金沢に行った。金沢21世紀美術館と鈴木大拙館は金沢に行くと必ず訪れる場所で、今回は東京で見逃したオラファー・エリアソンの展示が来ていたのがラッキーだった。知らない場所では親から離れない娘がタレルの部屋を非常に気に入って1人で走り回っているのがなんだかとても嬉しかった。私と夫も以前から大好きな場所なので。
空調がなくうだるような暑さでほとんどの人が1,2枚写真を撮って立ち去る中、娘は30分以上ここを離れようとせず翌日も再訪した。日常ではわからない、子どものこういう「お気に入り」を発見できるのは楽しい。
鈴木大拙館が好きなら、と友人に勧めてもらい初めて行った谷口吉郎・吉生記念金沢建築館もとても良かった。建物の美しさ、展示の良さもさることながらスタッフの方々(他の美術館などと比べてご高齢の方が多いように見受けられた)がとても優しくて娘にもよく声をかけていただいた。人がほとんどいなくてのんびりと過ごせる空間だった。
気になっていた私設美術館KAMU kanazawaも。kamuは共通チケットで金沢市内に点在する複数スペースに入ることができるので、バスの1日券も購入してまち歩きを楽しんだ。こういうスタンプラリーみたいなの大好き。
これはスタート地点であるkamu Centerの目玉展示、レアンドロ・エルリッヒの階段。事前に他の人の写真を見て、他人が写り込まないものなのかと不思議だったけどスペースに1組ずつ入るように案内されていた。なるほど。森美術館で見たエルリッヒ展は作品数も多くて豪華だったよね、と調べたらもう5年も前だった。こわ。
kamuはどのスペースも良かったけど、特に暗闇の中でレーザーと音によるインスタレーションを体感できるKAMU Black Blackの展示「レーテー」が好みだった。ここは子どもが入場できなかったので夫と交代で貸切状態を楽しんだ。本多公園の巨大な泥足も近くで見られてよかったな。
都内では子どもを連れて美術館に行ったことがなかったので、きょろきょろしたり指差して声を上げている様子を見て「なんだ、普通に楽しめるんだな」と驚いた。額に入った絵とか暗闇の映像なんかはスルーして屋外もしくは広い空間を使った展示をメインで見たのだけど、静かにじっとしていましょうねという緊張感がないのも良かったのかもしれない。皆さん優しくて「アートの街」の懐の深さを感じた。
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仕事帰りに同僚に誘われてブルーピリオド展に行った。原画が見られるのかな〜くらいの気持ちで行ったら良い意味で裏切られた。展示が濃い!!
作品に登場する課題作品は本当に美大・芸大生が描いていると注釈で知っていたけど、実物を見るとその迫力に驚く。
入試の自画像、作中に出てこない子たちの作品が見られて嬉しい。みんなキャラと作風が合致している!解釈一致!そりゃあそうか。
美術史が学べるコーナーや石膏デッサンコーナー、元芸大受験者の現在、現役美大生の作品展示などなどブルーピリオドという作品に捉われない様々な切り口の展示がとっても面白かった。普通に芸大の学祭に遊びに行ったような気分だし、たぶんブルーピリオドを読んでいない人でも楽しめる展示だと思う。どことなくヒリヒリするような、芸術を志す人たちの真摯な熱量が詰まった空間だった。ブルーピリオドという作品にかける作者の気概を感じる。東京でしかやらないのは残念だけど、寺田倉庫という会場もすごくマッチしていた。
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転職するつもりであることを初めて同僚に伝えて、あー本気で辞めるつもりなんだな、と自分を俯瞰で見ていた。自分で決めたことだけどとても寂しい。いつかはそうするつもりだったけど、もっとずっと先のことだと思っていた。好きなことを仕事にして全力で楽しんで、労働だけど青春だったな。外国人の彼女は、引き留めたいけど友人としては応援する、もし自分も国に帰ったとしても友達だよ、完結するまでブルピの話しようねと言ってくれた。
恋愛の終わりと同じで、組織から心が離れると嫌な部分ばかり目についてしまう。でも良いこともたくさんあった。間違いなく得たものの方がずっと多い。思い出せてよかった。
そうだよねユカちゃん!戦うぞ。