月組愛が止まらない「フリューゲル-君がくれた翼-/万華鏡百景色」

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月組公演「フリューゲル-君がくれた翼-/万華鏡百景色」を観たので感想です。先に叫ぶけど今回の公演が好きすぎた!!!!ツボにぶっ刺さってしまったので冷静ではないです。

フリューゲル-君がくれた翼-

ヨ、ヨシマサだーー!しかもトンチキじゃない方のヨシマサだ!!??

ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツが舞台で「コミカルでハートウォーミングなミュージカル作品」ってどういうこと…?と思っていたけど本当にコミカルでハートウォーミングなミュージカル作品になっていた。看板に偽りなし。

冒頭ドタバタ〜と状況説明を畳み掛けられるけど、全体の緩急を考えるとあれくらいでいいのかな、「西側の歌姫が東側に来てライブして帰るまでの話+壁崩壊」で尺的にもちょうど良かった。なによりサイトーくんらしく、下級生1人1人にいたるまで詳細な裏設定があるのだろうな〜(狂言回しがドイツのメルケル首相だったり、ヨナスの部下たちの私服ファッションの個性だったり)と伝わるキャラクターの豊富さと小芝居が楽しかったです。毎回誰にオペラグラスを向けても新しい発見がありそうだし、生徒にとっても役作りの勉強になりそうだし、宝塚オリジナル作品はこうであってほしい!

ナディアのアイドルステージが始まる場面では、「大佐、ご存じ…ないのですか!?」に「ヨシマサ!!!相変わらずランカ・リーが好きだね!!??」と内心大爆笑してしまった。ていうか観客席もそのネタついていけてないよ!!ミラーボールとかトップ娘役のキャピキャピアイドル姿に「満天星大夜總会(2003)」を思い出し、これはヨシマサ猫耳とかパンダとか出てこないだけ全然まともだ…と毒されていることを自覚しました。衣装はトンチキだったけどな。そもそもくらげちゃんの雰囲気的にもっと大人しっとりしたディーヴァ系の方が合うと思うんだけどな。

れいこさんの堅物軍人&共産主義ズブズブなちなつさんヘルムートの同期は完全に解釈一致です〜!!でときめきが止まらなかった。お芝居が上手くてコミカルな場面の呼吸も抜群に良いですね。れいうみコンビはロマンティックなのも好きだけど男女バディっぽいのが抜群に合うと思っているので、安易にラブストーリーに振らない感じもすごく良かった。後述しますがしっかりラブストーリーなショーとのバランスが取れていて良い!

ベルリンの壁の壊れ方とか「コントか?ww」となるところはあったけど、盆を回しながらの歓喜の歌は良い見せ場になっていたし(歓喜の歌で誤魔化される感じは個人的にちょっと苦手な作品の記憶が蘇るのですが…)ヨナスとお母さん再会は普通に泣かされる場面だったし。

曲も全体的に良かったけどちょっと肝心な歌詞がわからないところがあり、おだちんの正体部分とかセリフで補足入れてほしいなーと思った。あと全体的にあの軽いタッチだったらヘルムートは自殺までは描かなくてよかった気もするなあ。

しかし月組を観る度に言っていますがトップコンビをはじめちなつさん、おだちん(あの飄々として得体が知れない感じぴったりだ!が応天の門みたいな役もできるんだもんなあ)、みちるちゃん、そして組長副組長と主要メンバーがみんな芝居が上手いので全体が引き締まっていて、どういうジャンルでもしっかり没入させてくれるんだよなあ。ほんと今の月組が好きです。私が見た回は10人以上の方が代役という公演だったのだけど、それを全く感じさせない、誰が代役なのかほとんどわからない(唯一、学生グループのゲッツェは絶対彩海せらちゃん本役でしょ!と思ったけどもそれは代役さんの力不足というわけではなくあみちゃんぽい役すぎたからです)のが凄すぎた!数日のお稽古でここまで持ってくる月組子の底力を感じました。

万華鏡百景色

ハイ!!!めちゃくちゃ好きですね!!!!!これまで月ショーではダントツでBADDYが好きだったけど超えてきた!!というか歴代ショー作品の中でも上位に食い込むほど好みだった!!!

和物かと思いきやドレスの場面あり現代まで満遍なく入っていて本当に万華鏡のような華やかさ!個人的に概念ぽいショーより各場面でストーリーがあったり何を見せたいかしっかりわかる作品が好きだし、そしてなにより「東京という都市を軸にしたアンソロジー」かつ「時代を超えた輪廻転生を万華鏡というアイテム(と付喪神)を通して追う」という設定と衣装と演出がツボすぎて〜!!

事前に平成のおたくには刺さるショーだよ〜と聞いていたのですが…東京詞華集(トウキョウアンソロジー)ってタイトルも危険な香りがするなと思っていたのですが…輪廻転生は大好物だし(嫌いなおたくおるんか?※クソデカ主語)、付喪神!花魁!鹿鳴館!芥川!地獄変!異種族恋愛!?!?椎名林檎ォォォ!!!!で最初から最後までずっと息切れしていたよ。はあたまらん。

オタク的にたまらない題材、キャラクター造形だったのはもちろんなのですが、今回が大劇場デビューの栗田先生の視覚的な場面の作り方というか、高低差や奥行きを活かした演出と色彩センス・衣装センス…全てのセンスがとにかく良い!花火の見せ方や大階段の使い方が光っていた。渋谷の見せ方とかすごくない!?

そして場面繋ぎが神!!!暗転で間が空く瞬間がひとつも無く場面がくるくると転換するのも、鹿鳴館(芥川の短編)→回想で銀座→カフェー→芥川で地獄変→火で戦後を表現して戦後、の繋ぎとかお見事すぎる。選曲センスも抜群に良いですよね。特に戦後以降ってショーナイズされた派手な衣装だけでは時代の変遷を伝えるのが難しいところ、曲でしっかり令和までの流れがわかる!あとあの時代の代表曲って感じではないがみんなが聞いたことあるな〜となる絶妙な選曲…。サチモスもキングヌーもバチバチにお洒落すぎない、宝塚の幅広い年齢層の客席に響くくらいのトレンディさで見事だわ…そして同じ1曲でフィナーレを歌い継ぐのも初めて見たけどめちゃくちゃ良いなあ。あそこに椎名林檎の「目抜き通り」持ってくるの100000000点だよ帰りにGINZA SIX寄りたくなっちゃった。衣装も100000000000点です!!娘役従わせて歌うちなつさんからの2トップハモリからの男役群舞、そしてデュエダンでついに結ばれる2人最高です!!!!すき!!!!

あとですね、何度も輪廻転生を繰り返してすれ違う2人…で恩田陸の「ライオンハート」が大好きな自分はときめきまくっていたのですが、その中にまさかカラスが出てくると思わなくて萌えで叫びそうだった。人間以外もアリなんですね!!!萌え死ぬ!!!あの場面の大階段含めた構図、ゴミ袋のようなビニールでできた羽根、くらげちゃんの髪型やワンピースのお色とかもめちゃくちゃ好みだった。というか本当に衣装全部好きだったな…付喪神たちも素敵だし闇市は演出家の好みが伺えたし大正ロマンなお着物もすごい可愛かった。バブル期な肩パッドスーツすら素敵だった。ひとりひとりのお衣装も個性があって綺麗で、舞台全体を引きで写真に撮った時に一枚の絵として美しくなるカラーリングや立ち位置になっていて、アイドル衣装のような美学を感じるわあ。冒頭の絶景かな〜で振り付けがある江戸の人々の間にぴたっと止まって無表情で空を見上げる付喪神とか、地獄変の舞台全体を使った火の表現とか。

数年ぶりに体験した客席降りも楽しかったなあ…。始まる前は「客席降り嬉しいけど、まだ休演も多いのに接触する機会増やさなくていいよう心配だよう」と思っていたけど、いざ目の前に組子がいるのを見ると無条件に泣いてしまったよね。ありがとうございました。

しっかり設定のあるショーなので、月組さんの芝居の上手さが活かされる作品になっていたのもよかったなー。れいこさんの主題歌の歌い方ひとつとっても、花火師としての「絶景かな」と中詰の「絶景かな」は全然違うのよ〜!こぶしのきき方が。ちなつさんの芥川→良秀の狂気の表現も言わずもがな!!!

栗田先生、とにかく好みで今後に期待しかないです。初大劇場作品らしいというか、「宝塚でこれをやりたかったんです!」が詰まっていて細部にまでこだわりを感じる。宝塚の王道を踏襲しつつ新境地を見せてもらって、久しぶりのワクワク感があるショーだったな。これまでのバウ公演も探して見よう〜。

そもそもこんなに休演者がいる状態でも代役立ててやり抜こうとしてくれた皆様に大感謝です…。最近くらげちゃんの休演もあり、レポ読んでるだけで泣ける…。今の月組さんが背負っているとんでもない重圧を考えると申し訳なくなる…千秋楽の後しっかりお休みしてほしい。月組さん大好きだようう。

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